社長とたき火、支えてくれる上司…ハイコムモバイル(熊本市)の合宿で見えた人の魅力【新卒採用・熊本企業インサイト】

熊本日日新聞 2024年10月7日 11:30
社長とたき火、支えてくれる上司…ハイコムモバイル(熊本市)の合宿で見えた人の魅力【新卒採用・熊本企業インサイト】

「たき火を囲んで、社長にキャリアの悩みを打ち明けた」「悩んだとき、上司が本気で向き合ってくれた」。携帯電話の販売代理店を運営するハイコムモバイル(熊本市)は、店長らが会社と自分の将来を語り合う「ミライ合宿」を毎年開いている。「人こそすべて」を理念に掲げ、不動産、宅配水事業なども展開するハイコムグループの一社。「上司との距離が近く、社員が一丸となって成長し合う社風」。なぜ、社員たちはそう口をそろえるのか―。8月下旬に上天草市で開かれたミライ合宿を取材して見えた、ハイコムモバイルの「人」の魅力に迫る。

ハイコムモバイルの強みは?店長たちがリゾートホテルでのびのび語った

若手店長らが集まり、会社と自分の将来をにぎやかに語り合ったミライ合宿=上天草市のリゾラザバード
若手店長らが集まり、会社と自分の将来をにぎやかに語り合ったミライ合宿=上天草市のリゾラザバード

穏やかな有明海を望むリゾートホテル「リゾラザバード」(上天草市)の一角。開放的なガラス張りのコワーキングスペースに、ラフな私服姿の20~30代男女22人が集まった。ハイコムモバイルが熊本県や福岡県などで運営するauショップ、UQスポット全13店の店長のほか、エリアを取りまとめるスーパーバイザー(SV)、人材育成課長や幹部メンバーらだ。今回の合宿では、社員を巻き込んで人材採用のブランディングを考えるグループワークを行うという。

「皆さんは、圧倒的なお客様目線で商品を売ってきた人たち。今日は就活生から見たハイコムの強みは何なのか、一緒に考えてほしい」。事業部統括責任者である執行役員、中渡祐貴本部長が呼びかける。「よろしくお願いします!」 活気に満ちた社員たちの声を合図に、研修が始まった。

採用ブランディングのため自社の強みを出し合うグループワークでは、「経営層や上司との距離が近い」「みんなが会社と同じ方を向いている」など人間関係の良さを挙げる意見が出た
採用ブランディングのため自社の強みを出し合うグループワークでは、「経営層や上司との距離が近い」「みんなが会社と同じ方を向いている」など人間関係の良さを挙げる意見が出た

ミライ合宿は、最前線に立つ店長らを労い、長期的なビジョンを語り合おうと2023年から年1回開いている。同社では20代半ばから店長を任される若手も珍しくない。「月2回の店長会議では、どうしても目先の業績の話題ばかりになる。将来についてのびのび話せる場を作りたかった」。発案者の甲斐文祥社長は狙いを語る。

「経営層や上司との距離が近い」「みんなが会社と同じ方を向いているから、お客様第一の接客が当たり前」「店長になった時のサポート、資格取得支援などが手厚い」…。参加者は4~5人のグループに分かれ、入社して日頃感じている自社の誇れる特徴を出し合った。

「何をするかより、どんな人と働くか」。就活の軸は間違っていなかった

上司に支えられて成長した経験をグループワークで語った藤原拓也さん(左から3人目)
上司に支えられて成長した経験をグループワークで語った藤原拓也さん(左から3人目)

「頑張った分だけ認められる。頑張ってダメでも、上司が手を差し伸べてくれる」

そう言い切ったのは、入社4年目の藤原拓也さんだ。熊本学園大学を卒業した2021年に就職し、auショップで接客販売を担当。2023年秋に店長となり熊本市の店舗で7人のスタッフをまとめている。

藤原さんには、上司に支えられた忘れられない経験がある。初めての店舗で成果を出せず、悩んでいた時のことだ。

「お客様に機種やプランを提案し、契約いただく仕事でしたが、なかなか契約に繋がらなくて…。早く一人前になりたくて、接客のロールプレイングを店長にお願いしました」

初めての上司で当時店長だった吉田有希さんは、自分の想いを受け止め本気で向き合ってくれたという。開店前の時間を使ったロープレはほぼ毎日続いた。たどたどしかった機種やプランのプレゼンは少しずつ上達。藤原さんは「あの時、吉田さんに真剣に育ててもらったから、今の自分がある」と振り返る。

「何をするかより、どんな人と働くか」を就職活動の軸にした藤原拓也さん。ハイコムモバイルの人の魅力に惹かれて入社を決めた。
「何をするかより、どんな人と働くか」を就職活動の軸にした藤原拓也さん。ハイコムモバイルの人の魅力に惹かれて入社を決めた。

別の上司からは、自分の甘い考えを正してもらったこともあった。契約が取れるようになり、将来は店長になると目標を掲げていた時のことだ。

「今のままでは、店長として推薦できないと言われました。売ることを焦り、お客様の話をしっかり聞いて提案する姿勢が欠けていたんです。私たちは営業職である前に接客業なんだと、その上司は教えてくれました」

それ以来、接客では困っていることを丁寧に聞き出したり、操作説明など契約に直結しない訪問にも真摯に対応したりと、店舗に立つ意識が変わったという。

「何をするかより、どんな人と働くか」。学生時代の藤原さんが持っていた就職活動の軸だ。「熊本県には多くの魅力的な会社がありますが、面談した社員の人柄や、楽しんで仕事をしている雰囲気に惹かれたんです。このチームの一員になれて良かったと、きょう再認識できました」。グループワークを終えた藤原さんの目は輝いていた。

たき火の前で社長と語った。自分のキャリアが広がった。

研修後にバーベキューを楽しんだ社員たち。甲斐文祥社長ら幹部が肉を焼いてふるまった。
研修後にバーベキューを楽しんだ社員たち。甲斐文祥社長ら幹部が肉を焼いてふるまった。

「乾杯!」
約4時間の研修の後、参加者はバーベキューを楽しんでいた。肉を焼くのは甲斐社長ら幹部たち。「今日はみんなに感謝する日ですから」。甲斐社長は顔中に汗をにじませ、白い歯を見せた。

日が暮れた午後8時すぎ、施設の一角に灯るたき火の光を、吉田有希さん(2013年中途入社)は特別な思いで見つめていた。藤原さんの初めての上司で、店長職を8年経験。昨年から、店長の後方支援を担うために新設された管理サポート課の課長を任されている。

「今の部署に移ったのは、去年のミライ合宿がきっかけでした。当時、自分のキャリアについて悩んでいて。たき火を囲んで、社長と2人で話したんです」

午後8時過ぎ、施設の一角に灯ったたき火を囲む甲斐社長(前列左)と吉田有希さん(前列右)
午後8時過ぎ、施設の一角に灯ったたき火を囲む甲斐社長(前列左)と吉田有希さん(前列右)

現場を熟知し、リーダーとして慕われていた吉田さん。一方で「店長として日々仕事をする中で、もっと会社に貢献できることはないかと考えていた」と打ち明ける。会社のことは好きだ。店長の仕事は楽しい。でも、この経験をもっと活かしたい。昨年の合宿に参加したのは、そんな悶々とした悩みを抱いていた時だった。

たき火の周りでみんなとマシュマロを食べながら談笑したときのことだ。少しずつ人が抜けていき、気づけば自分と甲斐社長の2人きりに。甲斐社長は吉田さんの近くに移り、声を掛けてきた。

「私が悩んでいるのを上司を通じて知っていたようです。『最近どうなの?』と話しかけてくださいました」

これからのキャリアについて真剣に考えていた吉田有希さん。社長との会話をきっかけに、店長をサポートする新部署を任された。
これからのキャリアについて真剣に考えていた吉田有希さん。社長との会話をきっかけに、店長をサポートする新部署を任された。

たき火を眺めながら、モヤモヤを打ち明けた。次のキャリアについて考えていること。後輩を育てたいこと。店舗運営の事務作業を軽減し、マネジメントの時間が取れる仕組みを創りたいこと。とにかく仕事が好きなこと―。社長から返ってきたのは意外な言葉だった。

「吉田さんの数値管理能力や、スタッフの心をまとめ上げる朝礼スキルはすごい強みだと思う。その経験を、新しいポジションで生かしてほしい。他の店長に店舗運営のノウハウを伝えたり、業務改善策を考えたりする部署だ」

甲斐社長も店長の育成の大切さを理解しており、店長がマネジメントに専念できる体制づくりが必要だと考えていた。吉田さんには、月2回の店長会議での姿から、管理能力の高さを感じていたという。新部署にピッタリの人材だった。

吉田さんは合宿の翌月に異動。今は、店長教育や業務改善策の立案・実装を担う。「こんなキャリアがあったんだと、自分の可能性を広げてもらいました。社長の想いを形にする為に、私が仕組みを作って現場で実現させることが今の目標です!」 凛とした吉田さんの声が弾んだ。

「チームで目標に向かって成長したい。雰囲気よく働きたい。人を大切にする社風に共感してくれる人材を積極的に採用していく」。合宿の終了後、ハイコムモバイル執行役員の中渡本部長は、再認識した自社の強みをかみしめるように語った。「人こそすべて」。成長を続けるハイコムグループの強さの秘訣は、その理念に詰まっている。

「顧客感動満足」を追求する店舗の仕事。意外?土日に休める環境も

藤原拓也さん(左から3人目)が店長を務めるauショップのメンバー(ハイコムモバイル提供)
藤原拓也さん(左から3人目)が店長を務めるauショップのメンバー(ハイコムモバイル提供)

ハイコムモバイルが運営するauショップ・UQスポットの自慢は、「顧客感動満足」を重視した接客だ。ハイコムグループ全体の人事戦略を担当する泰道揚洋部長が語る。

「『次もあなたからスマホを買いたい』と思ってもらえるような、お客様の期待を超える接客を会社一丸で目指しています」。ミライ合宿で複数の店長が「顧客感動満足をより高めたい」と目標を語っていたほど、全社に浸透している価値観だ。

携帯ショップの仕事は多岐にわたる。売り上げにつながる新規契約や機種変更だけでなく、修理の受付や操作方法の説明も担う。すべての接客に通じる土台は「傾聴」の姿勢だ。世間話もしながら信頼関係をつくり、潜在的なニーズをすくい取る質問を重ねる。新入社員は入社後の研修やメンターとの練習で、こうした質問力を磨いていく。

顧客情報などを管理するタブレット端末を操作する藤原さん(ハイコムモバイル提供)
顧客情報などを管理するタブレット端末を操作する藤原さん(ハイコムモバイル提供)

例えば「もっと充電が長持ちする機種が欲しい」という表面的なニーズの背景に、どんな使い方があるのかを掘り下げる。単に外出時間が長いのか、動画編集など電池消費の大きいアプリを使っているのか。顧客の生活に思いを巡らせ、より使い方に合った機種を提案する。売りたいものを押し付けない、寄り添った接客だ。

「休めない」というサービス業のイメージを覆す、働きやすい環境づくりにも会社として取り組んでいる。携帯ショップは土日も営業するが、休日や有給休暇の希望を出すことができる。「土日の希望休も可能な限り叶うようにしている。友人と予定を合わせ、ライブや旅行を楽しむ社員は多い」と泰道さん。男性が育児休業を取った実績もある。

泰道さんは「誰かが休んだら、近隣の店舗から応援に入るなどして人手を確保する仕組みがある。接客に力を入れる会社として、社員を大切にしたいと思っています」と話している。

編集部ひとこと

「実際、入社してよかったですか」。人を重視して就活をした藤原さんに質問をした。即答だった。「めっちゃいいっすよ」。温かくも厳しい上司や先輩との適度な距離感。チーム一丸で顧客の困りごとに寄り添い、目標を達成する喜び。自社への愛着を語る言葉がすらすらと出てきた。
労働生産性の向上や変化に対応できる組織づくりの手法として、社員と組織の間の信頼関係を重視する「エンゲージメント経営」が注目されている。その実例を目の前で見た気分だった。

オンラインで携帯電話の契約や端末購入ができる時代だ。販売代理店としてどんな価値を提供していくか。甲斐社長は「強い会社ではなく、変化できる会社が生き残る」と力説する。彼らの思いや社風に共感した人は、一度はハイコムモバイルの社員と会ってみてほしい。

ハイコムモバイル株式会社 概要

所在地 〒862-0975
熊本市中央区新屋敷1丁目14-35
クロススクエア熊本九品寺4F
【電話】050(8882)5600
設立 2011年9月
年商 38億円(2024年8月度決算)
事業内容 通信事業(auショップ・UQスポット13店舗)
役員 代表取締役社長:甲斐文祥
取締役副社長:甲斐大童
常務取締役:長野圭介
執行役員:auショップ・UQスポット事業本部長:中渡祐貴
従業員数 112人(2024年10月現在)
関連会社 (株)ハイコム、ハイコムウォーター(株)、ハイコムポスティング(株)、ハイコムライフクリエート(株)、ハイコムビジネスサポート(株)、グルービズ(株)、名水みなみあそ(株)
ホームページ 会社ホームぺージ https://group.8156.jp/
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