JA鹿本、担い手の育成センターが成果 開設6年で26人就農 卒業後もサポートへ「メンター制度」導入
新規就農者を育成するJA鹿本の「地域担い手育成センター」が成果を上げている。開設6年で26人の卒業生を輩出。本年度から卒業生が研修生の相談に応じるメンター制度も導入し、きめ細やかな支援につなげる。
山鹿市鹿央町千田の地域担い手育成センターでは、7月から7期生3人が栽培技術や専門知識の習得に励んでいる。研修期間は6月末までの1年間。
9月初旬、研修生らがハウスの中で、スイカのつる引きや芽かきの作業に追われていた。兄が手がけるオクラ栽培の規模拡大に協力するため、脱サラした髙田大樹さん(35)=鹿本町=は「近くに農業を学べる場所があったので決心がついた」。
センターはJA独自の研修施設として2018年、熊本県内で初めて開設。6700平方メートルの農地に5棟のハウスを備える。研修品目はミニトマト、促成ナス、スイカ。圃場[ほじょう]実習のほか、農薬や病害虫対策、農業経営、マーケティングなどの座学にも力を入れる。
新規就農には公的な支援制度もあるが、「担い手の育成には地域の協力が不可欠」とセンター長の徳永俊彦さん(55)。なかでもサポートが必要なのが独立就農者だ。鹿北町で土地を借りてナスを栽培する5期生の松本築さん(31)は「地元のナス部会にも顔を出してアドバイスをもらっている」という。
センターでも研修時から農業者のさまざまな活動への参加を促し、卒業生との交流機会も設ける。それでも「地域に溶け込めない現状がある」と徳永さん。そこで新たに始めるのがメンター制度だ。「ハウスの購入部品が分からない」「生活資金と営農資金をどう準備すればいいか」─そうした悩みに応じるため、同じ作物の卒業生に助言者になってもらう。
JA鹿本の西岡裕治組合長は「食料安全保障の面からも農業の担い手確保は重要課題。卒業後もバックアップしたい」と話す。同JAでは管内で就農を希望する8期生を募集中。定員6人。研修費用の自己負担はなし。営農企画課☎0968(41)5146。(本田清悟)
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