八代市、国の「循環のみち下水道賞」で防災・減災部門賞 マンホールポンプの浸水対策
八代市が2021年度に始めたマンホールポンプの浸水対策が、国の「循環のみち下水道賞」で防災・減災部門賞を受賞した。水に弱い制御盤の耐水化が、「他自治体の参考になる」と評価された。
下水施設は家庭などから出た汚水を、勾配をつけた下水管で集めて水処理施設で浄化する。マンホールポンプは、下水管から次の下水管へと汚水をくみ上げる重要な装置。水害でポンプが止まると汚水があふれ、浸水被害が拡大する。
八代市は21年度、下水施設の耐水化計画策定と合わせて、市内に143カ所あるマンホールポンプの耐水化を検討。コストをかけない対策として、30センチ以上の浸水が想定される地域で、ポンプの制御盤を地上から30センチ以上、持ち上げることにした。
さらに50センチ以上の浸水が想定される地域は、水に弱い制御盤内のブレーカーや端子台を、盤の上部に配置するよう製造会社に要請。市水処理センターの技師、窪田隆希さん(34)が自ら配置図を書いて交渉した。
「既製品は給電の流れを優先してブレーカーなどを下にするのが一般的。メーカーは困惑していたが、防災の重要性を理解してもらった」と窪田さん。古い制御盤から順次、新しい制御盤に更新している。
このほか、制御盤が浸水して停止した場合に備え、持ち運び可能な仮設制御盤を自ら設計。1台を発注して運用し、他自治体との共同訓練でも使っている。
こうした取り組みは県内自治体の担当者会議などで話題になり、24年度、国土交通省の下水道賞に応募したところ、創意工夫や他自治体でも導入可能な点が評価され、10日に東京都で表彰を受けた。
同センターの西尾和純場長(51)は「マンホールポンプの耐水化が進めば、水害時に水処理施設の対応に集中できる。古いポンプから順に対策を進めたい」と話している。(河内正一郎)
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