熊本市電の乗客、13%増の1008万人 2023年度、コロナ禍前の9割以上の水準
熊本市交通局は、2023年度の交通事業会計決算を公表した。新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた市電の乗客数は前年度比13・3%増の1008万人となり、感染拡大前の9割以上の水準にまで回復し、運賃収入が増加した。経常利益は1億38万円、純利益は1億1663万円で、ともに2年連続の黒字となった。
経常収益は前年度比2・7%増の22億5686万円。このうち6割以上を占める運賃収入は20・5%増の15億1048万円。乗客の伸びや、23年6月の運賃値上げにより、コロナ禍前の96%まで戻った。市一般会計から繰り入れる補助金は26・6%減の4億9074万円。補助金に含まれる人件費や物価高騰対策の運行支援金が前年度比1億7500万円減となったことが影響した。
経常費用は7・6%増の21億5647万円。全体の5割を占める人件費は人事委員会勧告に伴う増加で、4・5%増の11億6061万円。顔認証システムの実証実験や市電100周年記念事業の準備なども費用を押し上げた。
市電の運行は25年度、新たな経営形態「上下分離方式」の導入に伴い、一般財団法人「熊本市公共交通公社」に移る。経営は運賃収入で賄い、市一般会計からの補助金はなくなる。市交通局は「安全安心な運行を第一に、利用者ニーズに沿ったサービスの提供を積極的に講じたい」としている。(山下雅文)
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