たん吸引不十分、19歳男性死亡 岩手医大病院で医療事故
岩手医大病院(岩手県矢巾町)は30日、重い障害で体をほとんど動かせない男性(19)が小児病棟に入院中の昨年10月、たんの吸引が不十分だったため窒息し、低酸素血症で死亡する医療事故が起きたと発表した。付き添いの母親が不在時に発生。病院は出生後から診療に当たってきたが、吸引などの介助が日常的に必要な「医療的ケア児」に対する理解不足などが背景にあったと説明した。
外部有識者を含む医療事故調査委員会の報告書によると、男性は昨年10月16日、発熱のため入院。同18日、母親はケアの内容や注意点を書いたメモを病院スタッフに渡して一時帰宅した。翌19日に男性の酸素飽和度が下がったため、看護師が酸素投与を増やし、口や鼻からたんを吸引したが、呼吸のため喉に開けた「永久気管孔」からは吸引していなかった。この看護師が別の患者を処置しているうちに男性は心肺停止となり同日死亡した。
男性の遺族は「一番悔しく、納得できないでいるのは、まだまだ生きられる命を奪われ、未来を消された息子自身です」とするコメントを発表した。
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