【電子版限定】熊本の球児、「髪型自由」が浸透!? 熊本大会出場校アンケート 時代の流れか、伝統の継承か…
昨夏の全国高校野球選手権大会で優勝した慶応。107年ぶりの栄冠もさることながら、注目されたのは髪を伸ばしたナインの姿だった。以前は「高校球児は丸刈り」が定番だったが、昨夏の甲子園で8強に入ったチームのうち3校が髪を伸ばし、時代の変化を感じさせた。
あれから1年。熊日は今年の熊本大会に出場する全60校へのアンケートで、野球部員の髪形を尋ねた。6割超の38校が「丸刈りではない」と答え、熊本県内でも高校球児の〝髪形自由化〟が浸透していることがうかがえた。
東稜の近藤博文監督は2022年夏の熊本大会以降、丸刈り以外も認めるようにした。その年の春に入部した1年生が9人と少なく、丸刈りを理由に入部を拒んだ生徒もいたためだ。近藤監督は「中学校の野球部を見渡しても丸刈りは少数派になった。『高校から丸刈り』というのは、以前より子どもに抵抗感がある。野球を続けてほしいから髪形を自由にした」と話す。
丸刈りルールは「時代にそぐわない」と言うのは伝統校・鎮西を率いる山田豊監督。「野球をするのにどんな髪形がふさわしいか。生徒が考えてほしい」と強調する。
一方、今も「丸刈り」としたのは22校。このうち9校が「部のルール」と回答した。「普段は長髪だが、大会前は自発的に部員が丸刈りになる」(人吉)と答えた学校もあった。
甲子園出場の有無でみると、出場経験のある16校のうち7割超の12校が「丸刈り」と回答。今夏のシード8校も全て当てはまった。私立の野球部のうち、約7割が「丸刈り」だったのも特徴的だった。
丸刈りを続ける理由について、文徳の森田崇智監督は「こだわっているわけではないが、慣例」と言い、九州学院の平井誠也監督は「衛生面」、ルーテルの大森隆監督は「保護者の経済的な負担を考えた節約」などと説明。国府の山田祐揮監督は「勉強に野球にと人生で忙しい時期に、理髪店に行く時間が必要になる」。熊本工の田島圭介監督は「部員のほとんどが就職希望で企業の採用担当者の受けもいい。選手もそれを理解している」と話した。
熊本で唯一、甲子園優勝経験がある済々黌は、今年から丸刈りを部のルールにした。髪を伸ばして練習に参加した1年生の姿を見て、OBでもある荒巻智弘監督が部員と話し合い、「伝統」を重んじることを選択したという。
荒巻監督は「個人的には髪形は自由でいい」というが、「本気で甲子園を目指す雰囲気をつくるため先輩たちが丸刈りを続け、甲子園に出場した歴史がある。それを次世代につなぐのがわれわれの役割」と話す。
昨夏の熊本大会を制した東海大星翔の野仲義高監督は、慶応ナインにならって髪形の自由化を何度か部員に提案した。しかし、返ってきた答えは「今は野球に集中する。まだ髪を伸ばす時期ではない」だった。
東稜の近藤監督は約30年前、商大付(現学園大付)でプレーした。髪形は自由で、県内ではまだ珍しかった。「当時、球場で観客から厳しい声も浴びたが、時代の流れで今は自由な髪形が受け入れられている。個人的には、丸刈り球児が好きなんですけどね」(高校野球取材班)
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