連合チームが勝ったら、どこの校歌? 熊本は独自方式 高校野球・熊本大会が開幕
夏の甲子園出場を懸けた全国高校野球選手権熊本大会が6日開幕した。勝利チームはホームベース付近に一列に並び校歌を斉唱。この大会ならではの光景だ。「連合チームが勝った場合、どこの校歌を歌うの?」と、熊本市北区の男性会社員(55)から熊日のSNSこちら編集局(S編)に、疑問が寄せられた。主催者に確認すると、甲子園にはない、熊本独自の方式が採用されていた。
部員不足に悩む複数校が組む連合チーム。今年の熊本大会には、「天草・牛深」「鹿本商工・高専熊本・菊池農」のほか、昨夏に出場した「御船・矢部・甲佐」と「湧心館・松橋・八代農」が〝合体〟し、計3チームが挑む。
大会史上最多の6校連合を率いる田淵耕司監督(八代農)は「昨夏前から協議して結成を決めた。全国でも6校連合は珍しいはず」と話す。
日本高野連によると、連合チームの出場が可能になったのは1997年。統廃合される学校の救済措置として認められた。部員不足になった学校も対象に加えたのは2012年からだ。
連合チームの条件は、構成校の部員総数(マネジャーを除く)が、ベンチ入り人数(現在20人)を超えないこと。昨年までは「部員8人以下」の学校のみに限定されていたが、今年から、その要件を撤廃した。
勝利チームの校歌斉唱は甲子園でもおなじみだ。主催する日本高野連は「甲子園では1校の校歌を選んで斉唱してもらう」と説明。例えば3校連合で1回戦で勝利したらA校を、2回戦でB校、3回戦ではC校と順番を決めてもらうという。「地方大会もそれに準じているはず」と担当者は話す。
熊本県高野連に確認すると熊本大会では、構成する全校の校歌を斉唱。齋藤輝久理事長は「勝利しても校歌を歌えない学校の生徒や関係者の心情を考えた」という。
齋藤理事長は2011年、連合チームに敗れたチームの監督として、3校分の校歌を聞いた。6校連合の場合は、校歌をつなぐと10分程度かかる見込みで「負けた学校にとってはつらく長い時間になるが、どんな小規模校であっても平等に扱いたい」と話す。
一方、校歌を会場に流している試合前のノックは各校7分間のため、6校連合の試合では控え、対戦校の校歌も流さずに実施する予定だ。
熊本方式を歓迎する6校連合の田淵監督だが、「それぞれ学校行事があり、日程の調整は大変。保護者の送迎も考えると集まる場所も限られる」と苦労も明かす。それでも週1度の合同練習は欠かさず、「ベンチでの声かけを聞いても、チームとして成長している」と実感している。
連合チームの甲子園出場は春夏通じてないが、21年には富山のチームがセンバツの推薦校(候補校)に選ばれた例もある。日本高野連の担当者は熊本方式について、「県連盟の取り決めなら問題ない」とし、「連合チームが甲子園に出場したら、校歌の問題は議論の対象になるだろう」と話している。(高橋俊啓)
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