【夏をつかめ①】課題の打線に「ノーステップ」打法導入 第1シード・国府 春夏へ「全試合5点取る」 第106回全国高校野球選手権熊本大会
春の選抜大会で、創部18年目に初めて甲子園球場の土を踏んだ国府。歴史を刻む1勝を挙げて16強入りを果たしたが、全国クラスの投手と対峙(たいじ)して「打力」という課題が浮き彫りになった。
選抜大会は2試合でわずか2得点。その後迎えた春の九州大会1回戦は長崎日大に延長十一回の末に2-1で競り勝ったが、準々決勝で鹿児島実の速球投手に九回途中まで散発6安打で完封負けした。山田祐揮監督は「投手の計算は立つ。あとは打線の奮起だけだ」と話す。
得点機を増やそうと、5月のRKK旗から好打者の内田海の打順を3番から1番に上げた。しかし、準決勝で九州学院に1-4で敗戦。その後、山田監督は打開策として、速球に差し込まれがちな打者には「ノーステップ」打法を試すよう促した。
足を上げずにタイミングを取る打ち方。重心移動が減る分、打球の飛距離は落ちるが、目線がぶれにくく球を捉える確実性は上がる。2ストライクを取られた後か初球からか、は各打者に委ねた。
「フォームがコンパクトになり、自分のポイントで打てるようになった。差し込まれることが減った」と野田希主将。「うちはもともと重量打線ではない。メリットの方が大きい」と語る。山田監督も「どの試合も5点は取りたい」と手応えを口にする。
一方、甲子園でも際立った堅守は健在だ。制球力のある右のエース坂井理人は淡々とアウトを積み上げ、抑えの変則左腕、植田凰暉も強靱(きょうじん)な精神力で終盤のピンチを切り抜ける。捕手寺尾真洸は「甲子園や九州大会で場数を踏んだ。いつも平常心で投げてくれるので、野手は守りやすい」と語る。
日本高校野球連盟が低反発バットの導入を決めたのは、2021年度。山田監督は「打撃戦が減る」と見越し、ゴロの捕球や送球、フットワークといった守備のセンスが光る中学生を中心に勧誘した。
22年4月に入学後、猛練習で守備力に磨きをかけてきたのが、今の3年生だ。31歳の青年指揮官は「3年計画の集大成」という。堂々の第1シードから「春夏連続」の甲子園出場に挑む。
◇ ◇
第106回全国高校野球選手権熊本大会が7月6日に開幕する。今年は、前哨戦となる主要大会の優勝チームが全て異なる混戦模様だ。頂点に登り詰めるのはどこか。「熱い夏」に挑む上位シード校の直前の表情を追った。(宮﨑達也)
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