ジャンボナシの生産維持に奮闘 JAやつしろ吉野梨部会 中国産ナシ花粉の輸入停止が影響
昨年8月の中国産ナシ花粉の輸入停止で全国の生産者に影響が広がる中、氷川町特産「吉野梨」を生産するJAやつしろ吉野梨部会は、ジャンボナシ「新高」の収穫量と品質の維持に奮闘している。花粉の輸入停止や長雨の影響を抑えようと、4月には生育調査や生産者向け講習会を実施。今年で20周年となる台湾輸出にも力を入れる。
JAやつしろによると、氷川町では約70戸が約80ヘクタールで幸水、豊水、秋麗、あきづき、新高などを栽培。新高は開花が最も早いため、町内では授粉作業に中国産花粉が多く使われてきた。
中国でナシやリンゴに被害をもたらす「火傷病」の発生後は輸入が止まり、在庫も含めて中国産の花粉は使えなくなった。部会や熊本県果実農業協同組合連合会などが本年産に必要な花粉の確保に奔走。吉野梨部会の岩本栄治部会長(48)は「関係機関の協力のおかげで、必要最低限の花粉は確保された」と話す。
しかし、3~4月の授粉時期に雨が続き、授粉作業が難航。生育不良や病害虫被害も懸念され、部会員らは4月23日に吉野地区の農園15カ所を回り、着果状況を調べた。部会は「着果した実は順調に育っており、目立った被害は見られない。生産への影響もなさそうだ」としている。
新高は果実を細菌や害虫から守るため、専用の袋をかけて栽培する。ただ、台風などで袋の閉じ口が緩んで雨水が入ると、皮にしみができるリスクがある。部会では袋のかけ方の見直しに着手。同町大野の農園に生産者を集めて雨風に強い袋のかけ方を講習し、収穫量と品質の維持に努めた。
ナシは5月までに摘果作業を終え、早い品種は7月から収穫に入る。9月には台湾輸出も控える。同JAによると、輸出は2004年に始まった。新高は、中秋節の縁起物として贈答品に定着しており、昨年は約22トンを輸出した。
岩本部会長は「今年も良質なナシを国内外の消費者に届けたい。目の前の壁を一つずつ乗り越え、平年並みの生産を目指す」と話した。(上島諒)
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