カメムシ越冬、大量発生 熊本県内で最大286倍の地点も 全国各地で注意報、農家に対策呼びかけ
果樹やコメなどの農作物に被害をもたらすカメムシが大量発生しており、熊本県を含む全国の自治体が生産者に警戒を呼びかけている。暖冬だったため冬を越した成虫が多いのが原因で、県の調査では平年比で286倍の発生を観測した地点もある。卵がふ化する夏を前に、県は異例の注意報を県内全域に出した。
県病害虫防除所(合志市)によると、かんきつ類やナシ、カキといった果樹に付くカメムシは果実や新芽の水分を吸い、腐敗や枯死などを引き起こす。
カメムシは気温が下がる冬場に死ぬことが多い。しかし今年1月の越冬量調査で、県内16カ所で平年比約2倍の計46匹を観測した。県が定点観測している合志、宇城、天草の3市の調査地点では、例年は観測数が少ない4月中旬から急増し、宇城では同下旬に平年の286倍の約1万7500匹(重量換算)を確認した。
カメムシは夏に卵からかえるため、さらに増殖が予想されるという。福岡管区気象台の予報では、今後1カ月間の気温は平年より高く、カメムシの活動が活発になる恐れがある。防除所は「日没後の飛来が多く、夕方や早朝の果樹園の見回りといった対策が必要。山間部は特に注意してほしい」としている。
農林水産省は「南関東、近畿、四国などで発生が多くなる」とみており、神奈川県や兵庫県、高知県などはすでに注意報を発令。九州では熊本のほか、福岡県と長崎県が注意報を出した。農水省はコメに付くカメムシも越冬により多発する可能性があるとし、農家に早めの対策を求めている。(馬場正広)
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