【この人に聞く・熊本地震1年①】益城町仮設団地自治会連合会代表の吉村静代さん 孤独死防ぐには? 「住民同士、見守る関係を」
2度の震度7に見舞われた益城町。約1500世帯が18カ所の仮設団地で生活する中、持ち上がる課題に対処しようと、町内の各団地の自治会長による連合会が2月に発足した。代表に就いたテクノ団地(同町小谷)の吉村静代さん(67)に取り組みなどを聞いた。(聞き手・後藤幸樹、写真・高見伸)
-地震発生から1年を迎えます。
「避難所から仮設住宅に移り8カ月余り。環境に慣れ、生活は落ち着いた。516戸が集まる県内最大の仮設団地のテクノ団地はイベントも多く、活気があるように思う」
「ただ、催しに集まる顔触れが固定化しつつあるのが心配。被災者が共同生活する避難所と違い、個人の空間を確保した仮設住宅は住民の顔が見えにくい。仮設団地でのコミュニティーづくりの難しさを痛感している」
-町内の仮設団地で孤独死とみられる被災者が出ました。
「東日本大震災によって岩手、宮城、福島3県では6年間で230人が孤独死したとされる。熊本では絶対出したくないと思っていたので大変残念」
「益城の仮設団地には、支援団体が常駐するところと、週に2、3度訪問する巡回型の団地がある。孤独死とみられる被災者が見つかったのは巡回型で、悩みなどを相談しにくいという声を聞く。訪問回数を増やすよう検討してほしい。お年寄りや障害がある方などの情報を把握し、住民同士で見守る関係も築きたい」
-連合会の目的は。
「被災者が自立し、支え合う環境をつくりたい。被災家屋の解体が進む中、家を建てて仮設団地を出ていく人がいる一方で、資金に余裕がなく団地に残らざるを得ない人もいるだろう。悩みを抱えても、相談相手がいなければ孤立感が深まる危険がある。住民が集う食事会など孤立を防ぐ手だてが大事だ」
-今後、どんな取り組みを進めますか。
「新たに建設される災害公営住宅への関心が、高齢の被災者を中心に高まっている。5月に東日本大震災の災害公営住宅を訪ね、住民のニーズをどう把握し、どう反映させたのか、関係者に聞く予定だ。誰もが住みやすい住宅になるよう、県や町に要望していく」
-復興への動きが本格化しています。
「被災者一人一人が自分らしく安心して暮らせることが本当の意味での復興だと思う。町に命を吹き込むのは『人』。行政はインフラ整備だけでなく、住民が生き生きとした日々をどうしたら取り戻せるか考えてほしい」
◇ ◇
200人以上の犠牲者を出し、18万棟余の家屋が損壊した昨年4月の熊本地震から間もなく1年となる。未曽有の惨事に、被災者や復旧作業などに当たった人々は何を感じ、どんな問題に直面したのか。さまざまな分野の関係者の意見を紹介する。=随時掲載
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