【この人に聞く・熊本地震34】兵庫県淡路市社協事務局次長の凪保憲さん 地域支え合いセンターの役割 「人と人とのつながり構築」
熊本地震で被災した15市町村で順次開設されている「地域支え合いセンター」。生活支援相談員が仮設住宅などを訪ね、被災者の生活を支える。阪神大震災などで被災者支援に取り組み、県内の相談員向け研修会で講師を務めた兵庫県淡路市社会福祉協議会の凪保憲[なぎやすのり]事務局次長に、センターの役割や支援活動のポイントを聞いた。(清島理紗)
-地域支え合いセンターの役割は。
「個別支援と地域支援だ。個別支援は訪問活動や見守り、相談事の内容に応じて専門機関につなぐこと。地域支援は人と人の関係づくり。過去の震災では仮設住宅での孤立死が問題になった。地域コミュニティーがなければ高齢者や障害者など生活しづらさを抱えている人は孤立する。社会的つながりがあれば孤立死は防げる」
-コミュニティーづくりのポイントは。
「地域を引っ張っていく“世話焼きさん”が必要。相談員は訪問を通じて世話焼きさんや協力者を探し、地域で集まる機会をつくってもらう。集まりに参加したくない人もいるだろうが、つながりの大切さを伝え、巻き込んでいくのも相談員の仕事だ」
「集まりの内容は住民の自由な発想が大切。集会場での飲酒を禁止したり、使用時間を限定したりせず、自由に使えばいい。お酒の力を借りれば、集まりが苦手な男性も参加しやすい。そのうち暮らしの話題になり『草刈りでもしようか』とでもなれば大成功だ。引きこもっている人や認知症の人などの情報が集まり、支援につながる可能性もある」
-コミュニティーづくりで注意すべき点は。
「過去に仮設団地でイベントを開いた時、被災者から『次は何をしてくれるのか』と聞かれたことがあるが、これではいけない。大切なのは住民主体のコミュニティーをつくること。自発的でない活動では、住民相互の見守りや支え合いに結び付かない」
-みなし仮設住宅に住む人への支援は。
「東日本の被災地ではみなし仮設の住民を地元に招き“プチ同窓会”を開いた。みなし仮設のある地域に住民が溶け込めるよう支援しなければならないが、既存のコミュニティーに入るのは難しい。熊本でもみなし仮設への支援は課題になるだろう」
-仮設から復興住宅などに移れば、コミュニティーはバラバラになるのでは。
「新しい生活の場で一からつくり直すことになる。しかし、仮設時代にコミュニティー活動を楽しんだ人は、新たな場所でもつながりをいち早くつくるだろう。相談員は地元に居続ける強みを生かし、長期的な視野で被災者を支えてほしい」
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