【この人に聞く・熊本地震31】公益財団法人日本財団理事長の尾形武寿さん 総額100億円超を支援 「復興へ希望の一助に」
ボートレース(競艇)の売上金などを元に、福祉や国際協力などの事業を展開する公益財団法人日本財団(東京都港区)。熊本地震からの復旧復興には、自宅が全壊などした被災者への見舞金や熊本城の復旧支援など、100億円を超える支援を打ち出す。尾形武寿理事長(71)にその思いや狙いを聞いた。(内田裕之)
-熊本地震からの復旧復興を支援することになった経緯を教えてください。
「災害の大きさに反応し、本震発生2日後には支援を決めた。阪神大震災以降、これまでに風水害など48回の災害支援に取り組んでいる。災害が起きると、何らかの手を打つのが財団の仕事の一つだ。ボートレースの売上金の一部を交付金としていただいており、必要なところに使わないといけないとの思いを常に持っている」
-多額の支援に驚きも聞かれます。
「南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生が危ぐされる中、2014年に大災害用に創設した特別基金が役立った。300億円を目指し、財団内で資金をやりくりして年間50億円ずつ積み上げ、100億円たまった時に熊本地震が起きた」
-被災者の生活再建支援に力を入れています。
「大規模半壊以上の場合、1世帯あたり20万円の見舞金を出している。20億円を見込んだが、思った以上に被害が甚大で倍増しそうだ。約束だから打ち切るわけにはいかない。総額は115億円近くに上るが、なんとか工面してやり続ける」
-住宅再建のための借入金にかかる利子分を助成する制度を初めて設けました。
「立ち直るためには希望が必要だ。その一助になればと思った。被災者が1人でも2人でもいいから一日でも早く、元の生活に戻ってほしい」
-熊本城の修復には30億円を充てます。
「熊本城の美しさは素晴らしい。県民の宝物だろうし、それが見るも無惨な姿になって耐えられないのではないか。修復を手伝うといち早く表明することで、被災者が少しほっとすることにつながると考えた」
「大きな金額を寄付することで話題になり、ほかの支援の呼び水になることも狙った。全国のお城がある地域で募金活動が広がっていると聞く。財団の初動が功を奏したのであれば、良かったと思っている」
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