【この人に聞く・熊本地震25】県教育長の宮尾千加子さん 学校の復旧・復興、考え方は? 「子ども優先、国に施策要望」

熊本日日新聞 2016年7月23日 00:00
 ◇<b>みやお・ちかこ</b> 荒尾市出身、九州大法学部卒。1982年、県庁入庁。くまもとブランド推進課長、商工労働局長、環境生活部政策審議監などを経て今年4月から現職。
 ◇みやお・ちかこ 荒尾市出身、九州大法学部卒。1982年、県庁入庁。くまもとブランド推進課長、商工労働局長、環境生活部政策審議監などを経て今年4月から現職。

 熊本地震では学校も甚大な被害を受けた。避難所としての機能を発揮した一方、学校運営との両立に課題を残し、被災した子どもの心のケアも求められている。4月に着任した宮尾千加子県教育長(57)に復旧・復興の展望や課題などを聞いた。(福井一基)

 -学校施設の復旧・復興に対する考え方を。

 「公立学校の被害額は現在、調査中だが数百億円規模に上っている。特に第二高(熊本市東区)の被害は大きかった。仮設校舎の建設は10月までかかるところを2学期のスタートに間に合うようにした。3年生は受験も控えており、行事を精選するなどして影響を最小限にしたい」

 「教育施設プラス防災拠点としての学校作りを考えなければならない。一部の学校は断水するなどライフラインに支障が出た。単に元に戻す復旧ではなく、井戸を掘ったり自家発電を備えたりできないか。被災を想定した二系統の確保など、復興のモデルとしたい」

 -地震発生直後から、多くの住民が学校に避難しました。

 「地域における学校の役割が再認識された。地域と学校がうまくいっている所は、避難所運営もスムーズだったと聞いている。地域住民からご協力いただける『開かれた学校』にならなければならない」

 -子どもの心のケアが課題に挙げられています。

 「東日本大震災で被災した子どもたちには5年たった今でもフラッシュバックがあると聞く。心のケアは中長期的に見ていく必要がある。被害が大きかった地域の学校には重点的にスクールカウンセラーを配置するなど相談体制を整えている。多忙な上に避難所運営などで大きな負担を抱えた教職員のフォローもしっかりしたい」

 -避難所運営では児童生徒がボランティアとして活躍しました。

 「駐車場の整理や物資の配布など、子どもたちの働きぶりには感動した。指示待ちが多いと言われる中、困っている人に何をしたらいいのかを学んだ。まさに生きる力だ。子どもたちにとって今は試練の時だが、人のありがたみや感謝の気持ちを感じられる機会になったと思う。一歩踏み出して乗り越えてほしい」

 -どんな姿勢で復旧・復興に臨みますか。

 「子どもたちのために何をしなければならないのか、『子どもファースト』で考える。もちろん予算に限りはあるが、お金のことは後で考えるくらいでいいと思っている。特別立法や補助のかさ上げ、制度創設などを国に働き掛けていきたい」

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