【この人に聞く・熊本地震24】被災地障害者センターくまもと事務局長の東俊裕さん 避難、生活再建をサポート 「つながり続け、孤立防ぐ」
県内の障害者団体などでつくる「被災地障害者センターくまもと」は、熊本地震で被災した障害者の困り事を聞き、避難生活や生活再建をサポートしている。事務局長の東俊裕・熊本学園大教授(63)=菊池市=に、障害者支援の現状や課題を聞いた。(清島理紗)
-センターを開設した経緯は何ですか。
「東日本大震災の被災地に行った時、どのボランティアセンターでも障害者の話が出なかったことがショックだった。障害者は指定避難所を利用できず、見えない存在になっていた。それを熊本で繰り返さないように、本震4日後の4月20日にセンターを開設した」
「熊本地震でも指定避難所を利用できない状態があった。知的障害者が崩れそうなアパートで暮らし続けていたり、車いす利用者が車中泊を余儀なくされたりしていた。指定避難所以外では、物資も情報も手に入りにくい」
-災害時に高齢者や障害者を受け入れるための福祉避難所は立ち上がりが遅れました。
「避難所は自宅から近い場所がベスト。高齢者施設などが受け皿となる福祉避難所は、補完的な役目しか果たせない。熊本市だけで障害者は延べ約4万5千人、そのうち重度障害者は約1万7千人もいる。福祉避難所だけで受け入れるのは無理だ」
「今後、指定避難所でも障害者を受け入れる仕組みをつくるべきだ。身体、知的、精神障害の特性に詳しい人員が運営にあたれば、障害者が排除されない避難所になる」
-障害者への具体的な支援は。
「6月末までに約150件の相談があった。被災した自宅で孤立している精神障害者には、不安を取り除くために面談を実施した。家を片付けてという要望にも応えた。家を探してほしい、罹災[りさい]証明の手続きが分からないなどの声も多い」
「障害者は普段、地域の支えがあって生活している。視覚障害者に近所の人が道を教えるなどの、ちょっとした支えだ。しかし震災でそのつながりが絶え、孤立化してしまう恐れもある。社会的関係を持続させ、心理的に支えることが重要だ」
-応急仮設住宅で車いすが利用できず、入居を断念したケースもあります。
「行政は過去の震災から学んでいないと感じる。車いす利用者や介助者が入れないトイレや風呂は、住居として不十分だ。被災地には高齢者も多く、障害者だけの問題ではない」
「被災者のニーズを調査し、障害の特性に合った仮設住宅を建てるべきだ。障害者を排除しないインクルーシブ(包括的)な支援をしてほしい」
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