【この人に聞く・熊本地震23】熊本商工会議所の田川憲生会頭 県内経済5団体、復興へ提言 「2019年までに天守閣修復を」

熊本日日新聞 2016年7月16日 00:00
 ◇<b>たがわ・けんせい</b> 熊本市出身。済々黌高-熊本大法文学部卒。1971年熊本日日新聞社入社。編集局長、専務などを経て11年6月からホテル日航熊本社長。14年6月から会長。11年11月から熊本商工会議所会頭。69歳。
 ◇たがわ・けんせい 熊本市出身。済々黌高-熊本大法文学部卒。1971年熊本日日新聞社入社。編集局長、専務などを経て11年6月からホテル日航熊本社長。14年6月から会長。11年11月から熊本商工会議所会頭。69歳。

 熊本地震からの復興の在り方について、県内の経済5団体が緊急提言をまとめた。その狙いを、熊本商工会議所の田川憲生会頭に聞いた。(高橋俊啓)

 -提言をまとめたきっかけは。

 「被災から2カ月が経過したころ、今後のまちづくりについてさまざまな意見が出ていた。熊本をどう復興させ、発展させるのか、戦略が見えないことに危機感があった。行政の目が被災者支援に向く中、経済界がまず声を上げるべきだと思った」

 「提言は6月、県と熊本市、熊本大、経済界2団体のトップでつくる『くまもと都市戦略会議』で提出した。その席で、提言を県の復旧・復興プランや熊本市の震災復興計画に最大限尊重することを確認した。その意味は大きい」

 -熊本城の天守閣を3年間で修復すべきだと主張しています。

 「熊本城は九州観光の要だ。熊本城が被災し、九州全体の観光に地盤沈下が起きており、早く復旧しないといけない。2019年にはラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権がある。天守閣修復に向けた目標にすべきだ」

 -熊本市が計画する大型集客施設(MICE施設)は継続を求めていますが。

 「MICEは、九州新幹線の全線開業、熊本市の政令市移行に続く、第3の成長エンジンだ。事業をやめると10~20年後、熊本経済はじり貧になる。今回の地震で、中心市街地に避難施設がないことも分かった。再開発ビルには食料品売り場もでき、救援物資の拠点にも成り得る。防災機能を強化して計画通り進めるべきだ」

 -熊本空港の再整備も提言しています。

 「空港ターミナルビルも相当な被害を受けた。この際、『熊本国際空港』として国内線と国際線が一体となったビルを整備すべきだ。そのためには膨大な資金が必要となる。空港の民営化も含め、議論が必要だ」

 -熊本競輪場や水前寺競技場など一帯の復旧には疑問を投げかけています。

 「水前寺地区は熊本の一等地。思い切って土地を民間に売却すべきだ。その上で別の場所にプロ野球が呼べる野球場やロアッソの専用スタジアムなど『第2の運動公園』を整備する。そこには新たな街が生まれる。創造的復興の柱になる」

 -熊本の復興の鍵は何でしょうか。

 「規定概念にとらわれないこと。被災した今こそ、県民が問題意識を共有して立ち上がる必要がある。熊本は創造的復興ができる」

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