【この人に聞く・熊本地震21】熊本シティエフエムパーソナリティーの水野直樹さん 災害速報、生活情報を発信 「声通して寄り添い合う」
熊本シティエフエム(熊本市)は熊本地震を受け、臨時災害放送局「くまもとさいがいエフエム」として13日間、24時間放送を続けてきた。被災者に向けて、どう情報を伝えてきたのか。同局のパーソナリティーで、防災NPOの代表でもある水野直樹さん(43)に聞いた。(西國祥太)
-臨時災害放送局として24時間、災害速報や生活情報を伝えてこられました。
「4月18日から30日まで、パーソナリティーが8時間ごとの3交代制で生放送を続けた。熊本市が発表する避難所や給水、銭湯、交通などの情報を紹介し、視聴者から寄せられた情報も発信した。約5千件の反応があり、『ここの道が通れなくて困っている』『こちらの道は通れますよ』など、双方向の情報交換ができた」
-音楽のリクエストでは、小学校の校歌も多かったそうですね。
「曲は、メッセージの一つだと思う。その人にとって聴くことで元気になり、前向きになれる曲を届けたかった。幸い地震直前、開局20周年の特別番組用に、市立小学校の校歌を録音していた。全95校のうち、約80校の校歌を流した。校歌は年代を超えたヒットソング。避難所となっていた各校で歌われたと聞いた」
-放送で心掛けていたことは。
「視聴者に寄り添い合うこと。ラジオの向こうにいる人たちに、語りかけるつもりで情報を届けてきた。寄せられた電話やメール、ファクスから読み取れる人々の感情を、声を通して伝えたい。ラジオで名前が呼ばれることで『自分は忘れられてないと感じた』という人もいた」
-防災士の資格を持ち、防災番組で災害への備えを紹介しています。日ごろどんな心構えが必要ですか。
「『あるものでどう生活するか』を想像してほしい。新聞紙があれば、羽織って防寒着になり、応急のスリッパなどにも活用できる。災害時に、水や食べ物は満腹になるほどは必要はない。どれくらいの備えがあれば1日生活できるかを想像することで、生きる力が鍛えられ、自助にもなる」
-防災NPO「ソナエトコ」代表として、避難所での支援活動も続けています。
「五つの避難所で、足湯や茶話会を開いている。ここでも大切にしているのは避難者の声を聴くこと。布団干しなどを通して、地震前の日常を取り戻してもらえるよう、活動を続けていきたい」
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