【この人に聞く・熊本地震⑳】赤十字飛行隊熊本支隊長の新永隆一さん 空からの民間支援、課題は? 「着陸許可手続きもっと早く」
大規模災害時に自家用機で、空撮や物資・人員の輸送などに当たる民間ボランティア「赤十字飛行隊」。1985年の日航機墜落事故をはじめ、阪神大震災や東日本大震災でも救援活動に加わった。熊本地震での活動や、浮き彫りになった課題を熊本支隊の新永隆一支隊長(53)に聞いた。(浪床敬子)
-赤十字飛行隊とはどういう組織ですか。
「日本赤十字社直轄の組織で、隊員は自家用機のオーナー。全国に37支隊、約100人の隊員がいる。熊本支隊は現在6人。2014年5月には県と災害協定を結んだ。大規模災害時の救援や復旧などに役立てる目的で、空撮した画像や映像を無償提供する内容だ」
-阪神大震災や東日本大震災でも活動されたそうですね。
「阪神大震災の時は、粉ミルク300人分を調達して熊本から運んだ。東日本大震災の時は、現地の医者の食料が足りないと言われ、岡山支隊と協力して食料を運んだ」
-熊本地震ではどんな活動をしましたか。
「被災地の熊本支隊は動けず、前震時は全国に応援を要請し、大阪支隊が益城町周辺を空撮して県に提供した。本震後は南阿蘇村の隊員から、東海大農学部に学生や村民ら1200人が孤立していて、早急に水と食料を手配してほしいと連絡があった。岡山支隊と長野支隊が水460リットル、バナナ100キロ、パン500個を調達し、いち早く届けた。地上で活動するグラウンドチームも炊き出しや給水活動をした」
-スムーズに空輸できましたか。
「熊本空港が自衛隊や警察、消防の特定組織しか使えなくなり、物資を運んでも着陸できない状態が続いた。県や国に何度も働き掛け、何とか着陸許可をもらったが、その手続きに相当の時間を要した。阪神大震災や東日本大震災の時も同じで、事態は改善されていない」
-今後どんな対応が求められますか。
「必要なところにいち早く民間ボランティアや物資が届くような環境づくりが必要。どういった民間ボランティアがいるのか、行政が日ごろから把握し、ネットワークをつくっておけば、災害時にもっと有効に活用できるはずだ」
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