【この人に聞く・熊本地震⑱】東海大学長の山田清志さん 阿蘇キャンパス、存続は? 「調査踏まえ、2016年内に方向性」
熊本地震で大きな被害を受けた東海大農学部阿蘇キャンパス(南阿蘇村)。農学部は1日から熊本キャンパス(熊本市東区)で授業を再開したが、阿蘇キャンパスの再開のめどは立っていない。阿蘇キャンパスの存続や意義について、山田清志学長に聞いた。(九重陽平)
-地震で倒壊したアパートの下敷きになるなどして学生3人が亡くなり、阿蘇キャンパスも大きな被害を受けました。
「尊い命が失われたことは本当に残念で、悔しい限りだ。彼らの犠牲を無にしないように、農学部の再建に当たる。全国のキャンパスで施設の安全性を精査しており、緊急度の高いものから対処していく」
-阿蘇キャンパスは存続しますか。
「学内外の有識者6人で構成する委員会で、施設の被害状況や地盤、土壌などの調査を進めている。8月中には報告を受ける予定だ。学生を預かる大学として最も重要なのは、施設が客観的に安全だと確認されること。調査結果を踏まえて、年内に今後の方向性を示す」
-南阿蘇村の住民からは、存続を求める声が上がっています。
「農学部の創設以来30年以上にわたり、学生と温かく親密な関係を築いてくれている地域住民には、本当に感謝している。阿蘇キャンパスを存続させたいという思いは強い。どのような調査結果が出ようとも、東海大として南阿蘇村には何らかの形で関わり続けていく」
「一方、阿蘇キャンパスかどうかは委員会の調査結果などを待たなければならないが、農学部については地震前の状態に戻すのではなく、新たな学部をつくるという気持ちで取り組みたい。農学部の教授陣に加え、他分野の幅広い専門家の意見も取り入れながら、社会に貢献する人材を育成する場をつくる」
-東海大にとっての阿蘇キャンパスの意義は。
「健康に関する研究に力を入れようと、学部や学科の新増設や改編を進めている最中だ。機能性植物の研究など食を通じての健康増進もテーマになり、農学部の重要性は増す」
-農学部の授業は少なくとも2年間、熊本キャンパスで実施され、学生たちが学ぶ環境が大きく変わります。
「阿蘇キャンパスの学生と職員は団結力が強く、熱い志を持っている。今は気持ちが張っているので大丈夫かもしれないが、一息ついた時が心配だ。心理カウンセラーを置くなどして、対応していく」
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