【この人に聞く・熊本地震⑰】熊本市男女共同参画センターはあもにい館長の藤井宥貴子さん 避難所の女性への配慮は? 「点検重ね生活環境改善」
熊本市男女共同参画センターはあもにい(同市中央区)は地震後間もなく、避難所での性暴力防止を訴えるチラシを手作りして配布し、女性や子育て家庭に配慮した避難所の環境整備活動を続けている。館長の藤井宥貴子さん(52)に課題などを聞いた。(荒川直子)
-性暴力防止のチラシの制作と配布の経緯は。
「はあもにいは当初、指定避難所ではなく、4月14日夜は応急的に地域の方々十数人を受け入れた。以後の運営などを考えて翌日を迎えたら、県外の男女共同参画センター関係者や防災に詳しい女性たちから支援申し出のメールや電話が多数届いた。その中に、『避難所の性暴力被害防止をすぐに』という助言があった。東日本大震災時の被害者のカウンセリングを今も続けているという東北の方からだった。『熊本では1件も被害を出さない』という気持ちでスタッフと動いた」
-チラシには阪神・淡路大震災や東日本大震災での被害事例が載っています。避難者の受け止めや効果は。
「受け取った女性たちからは『気を付けよう』という声を聞いた。一方、『この避難所で起きるわけがない』『不安をあおるな』という声もあった。掲示もお願いしたが、女性トイレだけに張り、男性の目に触れない所もあった。『男性にも避難所の居づらさはある』という抗議の電話も受けた。丁寧に説明したが、性別で分けられない人たちへの配慮も含め、対応の大事さに気付かされた」
-東日本大震災などの教訓に基づいて内閣府が定めた防災・復興の取組指針によると、男女共同参画担当部局や男女共同参画センターには、予防から復興までの各段階に重要な役割があります。
「地震前は、指定管理者なので市の担当課の指示や許可を待って避難所運営を補助するという程度の認識だった。しかし、実際に地震が起きると待つ時間はなかった。女性相談を行う他の公的機関にもデータを共有してもらいチラシは配布できたが、指定管理者の難しさを感じた。災害時の自主性、役割や連携をどうするか。課題が浮かび上がった」
-避難所の女性や母子への配慮を点検したり、意見箱を置き避難者の声を聞いたりする活動を続けています。
「4月下旬に始め、5月の連休明けに避難所が集約されて以降は市内の拠点避難所を3周した。更衣室や授乳室の設置など避難所の生活環境は時間を追うごとに整備され、多くの避難所で女性の管理者も配置された」
-今後の方向は。
「女性のニーズに沿った支援物資を送ってもらうなど、全国の男女共同参画センターや研究者、女性市民団体のネットワークに支えられた。今後は県内の他のセンターなどと連携し、避難所生活が長期化する女性の自立支援、女性目線の防災リーダー養成などに取り組みたい」
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