【この人に聞く・熊本地震⑬】熊本市国際交流振興事業団事務局長の八木浩光さん 外国人被災者支援、備えは? 「コミュニティーとの連携を」

熊本日日新聞 2016年6月28日 00:00
 ◇<b>やぎ・ひろみつ</b> 熊本市中央区出身。青山学院大卒業後、商社に勤務。1997年4月から市国際交流振興事業団企画事業課。2011年4月から現職。54歳。
 ◇やぎ・ひろみつ 熊本市中央区出身。青山学院大卒業後、商社に勤務。1997年4月から市国際交流振興事業団企画事業課。2011年4月から現職。54歳。

 熊本市中央区の市国際交流会館は熊本地震発生直後から2週間、外国人のための避難所を設置。併せて避難所を巡回し、生活相談に応じるなどして外国人被災者を支えてきた。同会館を運営する市国際交流振興事業団の八木浩光事務局長に、見えてきた課題などを聞いた。(中島忠道)

 -4月30日まで避難所を開設されました。

 「市の地域防災計画で、会館は外国人避難対応施設になっており、中国人やフランス人の観光客、留学生、熊本在住の外国人など40人、日本人も加えると最大約150人を受け入れた。他県の同様の施設やNPOなどから応援を得て、避難所運営6人、翻訳や支援スタッフ12人態勢で臨んだ」

 -どんな支援をされたのですか。

 「観光客はタクシーを準備し、旅行会社とコンタクトを取り、県外へ避難させた。市の被災者支援情報を英語・中国語・韓国語の3カ国語に訳し、ホームページに公開して情報が届くようにした。市内の避難所のうち約50カ所を回って外国人避難者の状況を確認し、住居の確保など個別の相談にも応じた」

 -外国人被災者支援の難しさは。

「やはり言語の壁だ。体調不安を訴えることもできないという声を聞いた。国によっては地震に対する“免疫”がなく、パニックになった人も多かった。外国人は災害弱者。言葉や文化の違いもあり、より綿密なサポートが必要だ。増え続ける外国人観光客に対する備えもできておらず、人数の把握やリスク管理などの課題も浮き彫りになった」

 -今後、災害にどのように備えますか。

 「市内には、観光客を除いても4千人以上の外国人が暮らしている。普段から外国人がつくっているコミュニティーと連携することで、コミュニティーを通してスムーズな支援ができると実感した。多言語対応スタッフの確保も課題。今回、翻訳した情報のうち、今後活用できるものは生かしていきたいと思っている」

 「会館では今後、外国人向けの防災セミナーを開く予定。災害時の行動指針などを説明する。外国人の方々には、災害時の対応を考えておくこと、また地域とも交流して自身の存在を知ってもらうよう心掛けてほしい」

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