【この人に聞く・熊本地震⑧】新町古町復興プロジェクト事務局長の吉野徹朗さん 城下町の「町屋」復旧 「所有者支え『風景』残す」

熊本日日新聞 2016年6月15日 00:00
 ◇<b>よしの・てつろう</b> 大分県竹田市出身。九州産業大卒業後、ホームページ製作会社のカメラマンなどを務め、2004年に転勤で熊本へ。現在は個人でウェブデザインなどを手掛ける。熊本市中央区在住。40歳。
 ◇よしの・てつろう 大分県竹田市出身。九州産業大卒業後、ホームページ製作会社のカメラマンなどを務め、2004年に転勤で熊本へ。現在は個人でウェブデザインなどを手掛ける。熊本市中央区在住。40歳。

 熊本地震で、「町屋」と呼ばれる築100年前後の建物の多くが被災した熊本市中央区の新町・古町地区。ボランティア「くまもと新町古町復興プロジェクト」を立ち上げ、街並み復興に取り組む吉野徹朗事務局長に活動について聞いた。(石本智)

 -設立のきっかけは。

 「新町・古町地区には、町屋が400軒ほど残るといわれる。今回の震災で、多くの建物が壁や屋根が崩れるなどの被害を受けており、取り壊されるのではと危惧[きぐ]を抱いた。このままでは城下町の風景が変わってしまうと。何年か先、熊本城が元に戻った時に、この街並みが残っていないのはいけないと思った」

 -メンバーは。

 「両地区の住民有志15人ほど。町屋の復旧が活動のメインになっていることもあり、多くは建築関係者。『おせっかいし隊』と銘打った活動には、メンバーのほかにも、これまで延べ約200人がボランティアで参加してくれた」

 -どんな取り組みを進めていますか。

 「壊れた町屋のがれき撤去に加え、以前から両地区の町屋保存に取り組む『町屋研究会』や県建築士会青年部会と協力しながら、被災家屋調査を進めている。古い日本家屋は土壁や屋根が崩れることで、地震から柱やはりを守るようにできていて、見た目の被害は大きくても、修復できるものも多いと聞いている。そういう建物を、どうやって残せるかを検討している」

 -街並み復興への手応えは。

 「地域の人々が町屋の価値を見直してくれたのがうれしい。所有者からも、『できる限り復旧したい』『建物を壊さずに活用してくれる人に譲りたい』などの声が寄せられている。一軒一軒は文化財ではないが、多くの町屋が残る風景にこそ価値があると、改めて感じてくれたのではないか」

 -今後の活動は。

 「応急的に屋根などに掛けてあるブルーシートを、紫外線に強く耐久性の高いシルバーシートに変える予定だ。専門家を招き、講演会やセミナーも開催する。復旧には費用がかかるので、助成制度などの支援情報を提供し、所有者を支えていくのがわれわれの役割と考えている」

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