【この人に聞く・熊本地震⑥】県総務部長の池田敬之さん 復興へ財源は大丈夫? 「地方負担の最小化、求める」
![◇<b>いけだ・たかゆき</b> 静岡県出身。東京大卒業後、1998年に自治省入り。消防庁、ヨルダン大使館、総務省住民制度課などに勤務し、2016年4月から現職。東日本大震災を挟む09年4月~13年7月に宮城県に出向し、市町村課長、財政課長を務めた。40歳。](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-01/IP160608TAN000198000_03.jpg?itok=34ttoO3f)
県財政は熊本地震対応で、“貯金”の財政調整用基金が初めて底をつき、早くも「非常事態」だ。宮城県庁で東日本大震災の復旧・復興に取り組んだ県総務部の池田敬之部長に、今後の財源確保や財政運営の課題などを聞いた。(蔵原博康)
-震災発生から2カ月足らずで貯金ゼロになりました。
「今回の災害は非常に大規模で、県や市町村の財政力をはるかに超える予算が必要だ。被災者救済と復旧復興事業は待ったなしで、年度当初で258億円あった基金を取り崩して県負担分の財源に充ててきた。基金は今議会に提案した補正予算で使い果たし、それでも足りなかった85億円は将来の特別交付税を見込んで財源に組み入れた。予算編成としては異例の手法だ」
-復旧・復興は緒に就いたばかり。今後の膨大な財政需要に耐えられますか。
「政府は7780億円の大型補正予算を用意したが、地方財政支援の全体像がまだ明らかではない。地方負担分がどの程度手当てされるかで、県財政への影響も異なる。9月議会では知事選で先送りした肉付け予算の本格編成もある。通常事業の見直しなどを進めながら、政府には地方負担が最小化されるよう強く求めていく」
-東日本大震災で被災した宮城県はどう対応しましたか。
「当初は基金の取り崩しや特別交付税を見込んでやりくりするなど、今の熊本と同じ綱渡りだった。復旧事業の予算規模が桁違いに大きく、本当に国が財源を手当てしてくれるのか、不安を抱えていた。補助拡大と財源確保の二つの特別措置法が作られ、地方負担がゼロになってようやく必要な事業が迷いなくできるようになった」
-政府の地方財政支援の見通しは。
「政府は補正予算の活用を始めたばかり。そう遠くない時期に地方財政支援の全容が示されると思う。今は『自治体が財政的にダメージを受けることは絶対ないようにする』との安倍晋三首相の国会答弁が頼りだ。県はそれを信じて必要な復旧事業を実施する」
-財政支援の特別立法を求める理由は。
「補正予算や補助拡大は政府の判断で可能だが、復旧・復興には長期間かかり、毎年度同じ対応になるか不透明だからだ。法律で財政支援の仕組みが担保されれば、被災地は安心して復旧・復興に取り組める。県としては政府の補正予算を活用した当面の要望の実現と並行し、東日本大震災での対応を踏まえた特措法を求めていく」
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熊本市出身。早回しの歌に乗せた形態模写やデフォルメの効いた顔まねでデビューして45年。声帯模写も身に付けてコンサートや座長公演、ドラマなど活躍の場は限りなく、「五木ロボ」といった唯一無二の芸を世に送り続ける“ものまね界のレジェンド”です。その芸の奥義と半生を「ものまね道」と題して語ります。