【この人に聞く・熊本地震④】熊本市動植物園長の岡崎伸一さん 再編整備計画への影響は? 「ゼロベースでの見直しへ」
熊本地震で大きな被害を受け、4月15日から休園中の熊本市動植物園(東区健軍)。園内の現状や再開の見通しなどを、岡崎伸一園長に聞いた。(石本智)
-園内の被災状況を教えてください。
「園内全域で、路面のひび割れや陥没・隆起、地中の給排水管の破損などが発生した。開放型展示が人気の『モンキーアイランド』では獣舎が傾き、飼育していたクロクモザルやワオキツネザルは別のおりに移した。子ども列車は駅舎が全壊。メリーゴーラウンドや新幹線などの遊具も、修理が必要だ」
-動物たちは無事ですか。
「幸い、けがをした動物はいなかった。当初は食欲が落ちたり、余震のたびに鳴き声を上げたりしていたが、今は落ち着いている。ただ、猛獣舎のおりに隙間が生じたため、ライオンやトラなど猛獣4種類は福岡市などの動物園へ緊急避難させた。園内の動物の様子はホームページでこまめに紹介しているので、ぜひ見てほしい」
-再開のめどは。
「被害が広範囲に及び、園全体で補修が必要な状態だ。現状復旧だけで1年以上かかるだろう。子どもたちが訪れる施設だけに、段差などをなくし、安全を確認してから再開したい」
-長期休園を見据え、小学校や保育園・幼稚園にモルモットやウサギなどを連れていく「ふれあい移動動物園」を始めました。
「1969年の開園以来、初の試み。第1回の春日小(西区)では、多くの児童が『楽しかった』と喜んでくれた。動物のストレスや人員の関係で週2回が限界だが、できる限り動物と触れ合う機会をつくりたい」
-今年1月に大西一史市長が表明した再編整備プランでは、動物ゾーンと植物ゾーンを融合させ、自然に近い展示を拡大する方針でした。震災の影響は。
「当初は2016~17年度で再編計画をまとめ、18年度から工事に入る予定だったが、ゼロベースでの見直しを余儀なくされた。いったん現状復旧した後に計画作成に入るのか、一気に再編を進めるのか、まず決めなければ。もし一気にやることになれば、休園期間はさらに延びるだろう。休園中も激励のメールや手紙をいただき、市民に愛された場所であることを、改めて痛感している」
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツTHEMES
熊本地震-
SKE48の井上瑠夏さん(菊池市出身)、復興支援で熊本県に寄付
熊本日日新聞 -
熊本城「宇土櫓続櫓」の石垣、復旧に向け解体作業に着手 28年度の積み直し完了目指す
熊本日日新聞 -
東日本大震災の語り部が熊本・益城町へ 23日、災害伝承などテーマに講演 熊日と河北新報の防災ワークショップ
熊本日日新聞 -
被災者に寄り添った支援 能登、熊本地震のボラセン運営者講演 日頃から役に立つ分野想定
熊本日日新聞 -
スペシャルオリンピックス日本・熊本、能登の被災地へ義援金贈呈
熊本日日新聞 -
福島の震災復興と被害伝承を考える 東稜高で復興庁の出前授業
熊本日日新聞 -
スイーツ、カレー、てんぷら串…自慢の逸品ずらり 「くまもと復興応援マルシェ」、グランメッセで17日まで
熊本日日新聞 -
行定監督「熊本から恩返し」 30日開幕、復興映画祭PRで県庁訪問
熊本日日新聞 -
くまもとアートボリス推進賞に東海大キャンパスなど3件
熊本日日新聞 -
復興の象徴「ゾロ」に感謝 大津小3年生が誕生日会開催
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
熊本都市圏の住民の間には、慢性化している交通渋滞への不満が強くあります。台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出などでこの状況に拍車が掛かるとみられる中、「渋滞都市」から抜け出す取り組みが急務。その切り札とみられるのが公共交通機関の活性化です。連載企画「移動の足を考える」では、それぞれの交通機関の現状を紹介し、あるべき姿を模索します。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛やより良い生活につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、しっかりした家計管理で安心して生活したい記者と一緒に、楽しく学んでいきましょう。
※次回は「家計管理」。11月25日(月)に更新予定です。