【この人に聞く・熊本地震④】熊本市動植物園長の岡崎伸一さん 再編整備計画への影響は? 「ゼロベースでの見直しへ」
![◇<b>おかざき・しんいち</b> 法政大卒業後、1983年入庁。住宅課長、東区役所まちづくり推進課長などを経て、2016年4月から現職。熊本市在住。57歳。](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-01/IP160603TAN000097000_03.jpg?itok=YX54knY6)
熊本地震で大きな被害を受け、4月15日から休園中の熊本市動植物園(東区健軍)。園内の現状や再開の見通しなどを、岡崎伸一園長に聞いた。(石本智)
-園内の被災状況を教えてください。
「園内全域で、路面のひび割れや陥没・隆起、地中の給排水管の破損などが発生した。開放型展示が人気の『モンキーアイランド』では獣舎が傾き、飼育していたクロクモザルやワオキツネザルは別のおりに移した。子ども列車は駅舎が全壊。メリーゴーラウンドや新幹線などの遊具も、修理が必要だ」
-動物たちは無事ですか。
「幸い、けがをした動物はいなかった。当初は食欲が落ちたり、余震のたびに鳴き声を上げたりしていたが、今は落ち着いている。ただ、猛獣舎のおりに隙間が生じたため、ライオンやトラなど猛獣4種類は福岡市などの動物園へ緊急避難させた。園内の動物の様子はホームページでこまめに紹介しているので、ぜひ見てほしい」
-再開のめどは。
「被害が広範囲に及び、園全体で補修が必要な状態だ。現状復旧だけで1年以上かかるだろう。子どもたちが訪れる施設だけに、段差などをなくし、安全を確認してから再開したい」
-長期休園を見据え、小学校や保育園・幼稚園にモルモットやウサギなどを連れていく「ふれあい移動動物園」を始めました。
「1969年の開園以来、初の試み。第1回の春日小(西区)では、多くの児童が『楽しかった』と喜んでくれた。動物のストレスや人員の関係で週2回が限界だが、できる限り動物と触れ合う機会をつくりたい」
-今年1月に大西一史市長が表明した再編整備プランでは、動物ゾーンと植物ゾーンを融合させ、自然に近い展示を拡大する方針でした。震災の影響は。
「当初は2016~17年度で再編計画をまとめ、18年度から工事に入る予定だったが、ゼロベースでの見直しを余儀なくされた。いったん現状復旧した後に計画作成に入るのか、一気に再編を進めるのか、まず決めなければ。もし一気にやることになれば、休園期間はさらに延びるだろう。休園中も激励のメールや手紙をいただき、市民に愛された場所であることを、改めて痛感している」
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