安全性への不安訴える 認証不正問題発覚のダイハツ車 S編アンケート
ダイハツ工業の認証不正問題を受け、熊日の「SNSこちら編集局(S編)」でアンケートした結果、ダイハツ車を利用したくないと答えた人は「一切」と「問題が解決するまで」を合わせ、約7割に上った。安全性への不安は「今後も利用する」とした人を含め、多くの人が訴えた。
アンケートしたのは22~24日。自家用車として利用する450人を含め、熊本県内を中心に1290人から回答があった。
今後、ダイハツ車を利用するかとの問いに対し、ほぼ半数の632人が「不正問題が解決したと思うまでは利用しない」と回答。275人は「一切利用したくない」と答えた。これらの回答者からは「幼稚園児の送迎をしているが、(乗り続けて)大丈夫だろうか」(熊本市、50代主婦)「エアバッグが作動するだろうか」(菊陽町、50代男性、会社員)といった不安の声が寄せられた。
一方、「今後も利用する」との回答は383人。このうち6割を超す256人は自家用車で利用しており、「9年前に購入したが、異常なく乗っている」(芦北町、60代女性、パート)など、今までトラブルがない点を理由に挙げる人が多かった。「怖いけど、買い替える資金に余裕がない」(八代市、40代女性、会社員)と打ち明ける人もいた。
困り事について尋ねると「売却時の査定が安くなりそう」(益城町、50代女性、パート)のほか、「同業者の不正で、私の勤務先(自動車ディーラー)にも多くの問い合わせがある」(熊本市、30代女性、会社員)などの声が上がった。「事故を起こす前に、何らかの対応をしてほしい」(熊本市、40代主婦)、「不正の責任は取るべきだが、罪のない労働者の生活は早く戻して」(熊本市、60代男性、医師)といった要望もあった。
アンケートは、無作為抽出の世論調査とは性格が異なる。(高橋俊啓)
◆不安や戸惑い、真摯な対応求める声相次ぐ
ダイハツ工業の認証不正問題を受け、熊日「SNSこちら編集局」のアンケートに回答したダイハツ車ユーザーからは、このまま乗り続けることへの不安や戸惑い、メーカー側に真摯[しんし]な対応を求める声が相次いだ。自動車業界の信用低下を心配する関係者の声も聞かれた。
「車種ごとの不正内容はもちろん、どんな不具合が車に生じる恐れがあるのか具体的に示してほしい」。7月にダイハツの軽乗用車を購入した熊本市南区の元会社員、多田誠さん(65)は注文する。
不正が判明した年式とは異なる中古車だが、ほぼ毎日乗っており「不安を抱えたまま運転するのは少しつらい。メーカーとして速やかに説明やおわびの通知を出してほしい」と求めた。
同市南区の女性(50)が勤務する高齢者デイサービス事業所では、ダイハツの軽乗用車を日々の送迎に使っている。「安全な車というのが大前提。利用者の命を預かっており、万が一のことがあったら誰が責任を取るのか」
事業所には他メーカーの車もあるが、軽乗用車でしか通れない道幅の送迎場所もあり、女性は「不安はあるが今後も使い続けるしかないだろう」と話した。
南阿蘇村のパート、竹腰満里江さん(43)は、22日にダイハツ正規ディーラーから新車の軽乗用車を納車予定だったが、今回の不正問題を受けて引き渡しをいったんストップ。しかし、現在所有する車は車検が来年1月末で切れるため、切羽詰まっているという。
「ディーラーには約15年お世話になっていて、対応は丁寧で何の不満もない。改めて検査して問題がなければ納車してもいいが…。別の自動車販売店や、中古車を探すのも今はまだ考えられない」と悩ましげだ。
「ひとごととは思えない問題で、危機感がある」と話すのは、他メーカーの自動車販売店に勤める熊本市中央区の30代女性。不正問題が表面化した後、勤務する店舗にも「このメーカーや車は大丈夫か」といった電話や来店客からの問い合わせが増えているという。
「メーカーの不正は販売店では分からないことが多いが、業界全体への不信感に発展しないか心配。たとえ納期が遅くなったとしても、安全性が確かな車の生産をメーカーには優先してもらいたい」と訴えた。(東有咲、丁将広、松冨浩之)
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