原発処理水、政府一体の対策を 省庁横断の部署設置を提言
公益財団法人「笹川平和財団」は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の風評被害対策を担う専門部署を内閣官房に設けるなど、政府一体の体制構築を求める提言をまとめた。水産業だけでなく、観光業や国内外の企業誘致など、影響は多方面に及ぶと想定。放出を問題なく進めるための長期戦略が必要とした。
提言は水産業や観光業、産業への影響を、放出トラブルが全くない「最善」から、トラブル続きで放出が長期停止する「最悪」まで四つのシナリオで想定し、政府が取るべき対策を検討した。最善の場合、国際社会の信頼を獲得し、水産物への懸念が解消され、経済の好循環が生じ経済効果は10年で15兆円超となるが、最悪の場合は信頼を失い海外投資も減少、経済損失は5兆円に達する。
多核種除去設備(ALPS)で浄化した処理水の放出が内外で反発を招いた現状を「国家としての信頼性に影響を与えかねない問題」と指摘。東電の当事者能力喪失に加え、関係省庁の連携不足などを要因に挙げた。
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