「放出、苦渋だが不可避」 原発処理水で前規制委員長
原子力規制委員会の更田豊志前委員長が20日までに共同通信のインタビューに応じ、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出について「廃炉を進めるため苦渋だが不可避な選択だ。人や環境への影響は科学的に無視できる」と理解を求めた。計画では2051年まで放出が続くが「設備の老朽化や風評被害を考えると、より短い期間で終わらせるのが望ましい」との見解を示した。
東電は処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を、国の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満とするため大量の海水で薄めて放出する。8月24日から9月11日に実施した初回は200ベクレル程度で放出し、周辺の海水や魚のトリチウム濃度に異常は確認されなかった。年間総放出量は22兆ベクレル未満とする。
更田氏は「過剰に薄めても科学的には意味がない。今の計画で30年かけて放出するのと、例えば10倍の濃度で3年で終わらせるのと、どちらが風評被害が大きいだろうか。10倍でも人や環境に影響が出るとは考えられない」と問題提起した。
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