猛暑の給食室「倒れそう」 エアコン設置なぜ進まない? 熊本市など、費用多額で後回しに
夏休みが終わると子どもたちの姿が学校に戻ってくる。そんな中、児童生徒の健康を支える給食室からSNSこちら編集局(S編)に悲鳴が届いた。熊本市内の小学校で調理員として働く40代女性が「給食室にはエアコンがないって知ってました? 暑すぎて倒れそうです」と投稿。調べると、給食室の改修には普通教室よりも多額の費用がかかるため、熊本市などでは後回しになっている実態が浮かんだ。
「熱中症で搬送も・・・」
女性が働く給食室では毎朝、複数の大釜に点火。室温は一気に37度を超える。虫やほこりが入らないように窓は閉めたまま。数百人分の食材を扱う力仕事だが汗だくでも手は止められない。現場では体温を少しでも下げようと冷却剤が入ったベストを着用していたこともあったが、焼け石に水だった。「湿度も高く、巨大なガス火の前で動き回るので体感はサウナ以上。熱中症で搬送された人もいます」。暑い中では食材の管理にも一層気を使う。
女性は「子どもの熱中症対策は注目されるけど、学校の先生ですら給食室にエアコンがないことを知らない人は多いんです」とため息をついた。
文部科学省の2020年度調査では、校内に自校専用の給食室がある熊本県内の公立小中学校150校のうち、エアコンがあるのは59校。設置率は39・3%で、全国平均の66・5%を大きく下回っていた。特に熊本市では調査当時、78校中1校のみで、現在でも3校にとどまる。
普通教室は完備
一方、普通教室のエアコン設置は20年度までに熊本県内の全公立小中学校で使われている全ての教室で完了した。18年度に設置費の3分の1を国が負担する臨時交付金が創設されたことが大きかった。なぜ給食室では進まないのか?
熊本市教委健康教育課の担当者は「給食室の暑さ対策は近年の課題としてとらえています」と回答。しかし建物の構造上、普通教室のようにただエアコンを取り付けるだけでは効果が出ず、施設全体の大規模な改修が必要になるという。
「老朽化なども考慮した改修計画全体の中で、できるだけ早く設置を進めていく予定です」と同課。応急対策として21年度、各給食室に移動式のスポットクーラーを配備したというが…。
福岡管区気象台の予報では、熊本など九州北部は9月も気温が高い状態が続く。給食室勤務歴10年以上というS編投稿者の女性は「子どもたちにおなかいっぱい食べて元気に育ってほしいと頑張ってきたけど、年々酷暑になり私たちの体が限界。学校を陰で支える現場にも目を向けて」と訴えている。(堀江利雅)
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