避難指示発令も、指定避難場所が開設されなかった理由は… 熊本市「周辺被害や施設内の状況も考慮」 電気系統に不具合
「7月3日に大雨で避難指示が発令された際、熊本市の指定緊急避難場所になっている近くの中学校が開設されなかった。いざという時に困る」という声が「SNSこちら編集局」(S編)に寄せられた。住民が安全確保のために身を寄せる場所。開設はどのように決まっているのか、調べてみた。
3日は昨年9月の台風14号以来、県内で線状降水帯が確認された日で、熊本市の1時間雨量は最大で53・0ミリに到達。市は午前9時10分に白川流域に避難指示を発令した。
避難情報は5段階あり、警戒レベルで最高の避難情報「緊急安全確保」、その次が「避難指示」「高齢者避難」と続く。熊本市の場合、高齢者避難で公設公民館を中心とした20カ所、避難指示で小中学校や公園など303カ所(屋根付き226カ所)の避難場所が指定されており、災害の種別や規模を踏まえ、水防本部長(市危機管理監)が実際の開設を判断する。
3日は、屋根付きの226カ所が対象だった。全ての指示が解除された同日午後5時までにほぼ半分の計114カ所が開設され、29世帯約40人が避難した。
市防災対策課によると、各施設は安全を確認して開設するが、管理者が周辺の被害や施設内の状況を考慮し、開けないケースもある。同課は「最終的には施設管理者と連絡担当員が連絡を取り合って判断する」と説明する。
S編の投稿者が疑問を寄せた中学校に事情を聴いてみたところ、朝から電気系統に不具合が生じ、事務室の警報が鳴りやまない状態だった。当日、市教委の連絡担当員から開設の可否を尋ねる連絡があり、「アラームが鳴っている状況で構わないなら開設できる」と回答。その後、連絡担当員から返答や指示などがなく、開設に至らなかった。同課によると、市教委の報告書には当日の状況について「異常発報あり。異常箇所は不明」と記されていた。
では災害時、どのように避難できる場所を調べればいいのか。市防災対策課は、市のホームページ「防災情報ポータル」や報道機関を通して、避難場所の開設状況を随時更新しており、確認を呼びかけている。(樋口琢郎、米本充宏)
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