あわや熱中症、停電後エアコン再起動せず 室内の要介護者ら「夏は命かかわる」 扇風機の併用、手元に水分置く対策も
7月上旬の真夏日。熊本県水俣市の男性(73)が要介護の姉(80)の待つ自宅に帰ると、付けていたはずのエアコンが止まっていた。原因は約10分間の停電だったという。室温は外より暑い33度。男性は「姉は熱中症になるところだった。エアコンは停電で一瞬でも止まると切れたままになるとは知らなかった」と、SNSこちら編集局(S編)に投稿をくれた。
男性によると、姉は認知症で暑さや寒さの感覚が鈍いため、その日も部屋のエアコンを冷房の27度に設定して運転させたまま外出。男性が約2時間後、買い物から帰宅すると、エアコンは電源のランプが点滅する状態で止まっていたという。姉は幸い無事だった。
男性は九州電力のホームページで、外出中に自宅のある地区で停電が起きていたことを確認。「寝たきりの要介護者や幼児など、エアコンを操作できない家族がいる場合、夏場は命にかかわる」と話す。
記者が自宅でエアコンを付けたままブレーカーを落として再び上げてみると、男性の言うようにエアコンは止まったままだった。各メーカーの製品情報を調べると、停電などで急停止した場合は故障や事故を防ぐため、基本的には自動で再起動しないようだ。
消防庁や熊本市消防局によると、県内で昨年夏(5~9月)に熱中症で搬送されたのは1554件。うち発生場所は「住居」が最多の635件。詳細は把握していないというが、同市消防局は「高齢者の世帯にはエアコン活用を推奨している」という。
今回の事態を受け、男性は「(住所を登録すると停電の発生を知らせてくれる)九州電力送配電の情報メールサービスに登録した」。ただ、同社によると、5分以下の停電は通知できないケースもあるという。同社は「停電は、電線に鳥の巣や木の枝が触れるなど災害時以外でも起こり得る」と説明する。
停電を含めたエアコンの急停止にどう備えたらいいのか。県健康づくり推進課は「エアコンだけでなく、停電後に運転再開する扇風機を合わせて利用することも対策の一つ。こまめに水分がとれるよう、家族の手の届くところに水分を置くことも必要」とアドバイスする。(堀江利雅)
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