熊本豪雨から丸3年 「6・26」の教訓は生きたのか? インフラ復旧、治水対策の進み具合は?
![熊本豪雨で球磨川や支流が氾濫し、浸水した人吉市中心部。屋根に避難した住民が救助を求めていた=2020年7月4日、人吉市](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2023-07/IP230630CTS000014000_01.jpg?itok=kYxJjDjF)
球磨川流域を中心に67人が死亡(関連死2人含む)、2人が行方不明となった2020年7月4日の熊本豪雨から3年。今年は県内で死者・不明者563人を出した1953年の「6・26水害」から70年の節目でもある。6・26水害の教訓は熊本豪雨で生かされたのか。当時を振り返るとともに、球磨川流域で進められているインフラ復旧や治水対策の状況をまとめた。
![「6・26水害」の発生から一夜明けた上通商店街。大量の漂流物や泥で埋まっていた=1953年6月27日、熊本市](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2023-07/IP230630CTS000008000_01.jpg?itok=7Aivn45i)
問い続ける二つの災害
記録的豪雨で多くの犠牲者が出た1953年の「6・26水害」は、早期避難の重要性を教訓として残したが、2020年の熊本豪雨でも多くの命が失われた。逃げ遅れをなくし、命を守るにはどうすべきか。二つの災害は今も問い続ける。
「熊本県災異誌」(熊本地方気象台編)によると、6・26水害の県内の死者・行方不明者は563人。特に熊本市の被害は大きく、阿蘇地域に激しく降り続いた雨で白川が増水し、市街地が濁流にのまれた。国土交通省の記録では、白川流域7市町村の死者・不明者は422人としている。
「まさか白川が氾濫するなんて思わなかった」。白川が子飼橋付近で左岸を破り、200人以上が犠牲となった熊本市の大江地区。田尻康博さん(79)は70年前の記憶を克明に語る。
![白川を前に「6・26水害」について語る田尻康博さん(右)と松村誠一さん=6月8日、熊本市中央区](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2023-07/IP230623TAN000040000_02.jpg?itok=Nuhl5_Jo)
■「水は来ない」
その日朝から白川は増水していたが「ここまで水は来ない」と、自宅で弟と遊んでいた。夕方、玄関土間が浸水。母親らと避難先の小学校に向かったが、用水路からあふれた水に足を取られ流された。とっさに電柱から地面に張られた支線につかまって助かった。
白川の濁流は一気に家々を押し流した。「洪水の危険性を知らず、家の中で雨がやむのを待つ人が多かった」と田尻さん。当時は平屋の家が多く、近所の2階建てに身を寄せる人はいたが、もっと安全な場所に避難するという危機意識は薄かったとみられる。
本荘地区の松島靖さん(88)は増水した白川を見に行き、腰まで水に漬かって家に戻ったことを覚えている。「今になって考えると恐ろしい」
残り 1529字(全文 2363字)
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツTHEMES
防災くまもと-
【速報】水俣市など震度1
熊本日日新聞 -
地域防災力の充実へ、在り方考える 県内初の強化大会、熊本市で開催
熊本日日新聞 -
熊本県内は8日にかけて大雪の恐れ 気象台が注意呼びかけ
熊本日日新聞 -
熊本城園路の空洞、原因は盛り土を固める力不足か? 50年前の石垣工事
熊本日日新聞 -
熊本市の下水道管、耐震化率は43.7% 2023年度時点
熊本日日新聞 -
八代広域消防本部、「みなと消防署」を4月から運用開始
熊本日日新聞 -
車15台立ち往生…熊本県内で積雪 山都町などで休校も 8日にかけ山間部中心に大雪の恐れ
熊本日日新聞 -
熊本は県南中心に銀世界 九州道など通行止め、休校も
熊本日日新聞 -
熊本県内で今冬一番の寒気 人吉で4センチ積雪 気象台「6日も警戒を」
熊本日日新聞 -
平地でも大雪の恐れ 4~6日の県内、今冬一番の寒気 熊本地方気象台が警戒呼びかけ
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
熊本都市圏の住民の間には、慢性化している交通渋滞への不満が強くあります。台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出などでこの状況に拍車が掛かるとみられる中、「渋滞都市」から抜け出す取り組みが急務。その切り札とみられるのが公共交通機関の活性化です。連載企画「移動の足を考える」では、それぞれの交通機関の現状を紹介し、あるべき姿を模索します。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛やより良い生活につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、しっかりした家計管理で安心して生活したい記者と一緒に、楽しく学びましょう。
※この連載企画の更新は終了しました。1年間のご愛読、ありがとうございました。エフエム熊本のラジオ版「聴いて得する!お金の話『まね得』」は、引き続き放送中です。