SNSで拡散、真偽不明の「当たり屋」リスト 熊本県警「事実無根」 既に廃車の番号も 30年前にも似た事案が
「当たり屋グループが山口県、関西方面から来て被害が続出している」と警戒を呼びかける真偽不明の車両ナンバーリストが、SNS(交流サイト)を通じて熊本県内で拡散されているという。取材を進めると、存在しないナンバーからなる〝偽リスト〟だと判明。しかも、似たようなリストがSNSが普及していなかった30年以上前から出回っていることが分かった。
「怖いと思って長女に転送したけれど、冷静に考えると怪しいと思いました」。SNSこちら編集局(S編)に相談を寄せた熊本市東区の女性(75)は今月1日、市内の友人からLINEでリストを送られた。その友人は、市内の会社で注意喚起のために配られたものを知人からもらったというが、もともとの出どころははっきりしない。
リストは「緊急連絡」のタイトルでA4判1枚。山口や神戸などの車両ナンバーが33件、一部は車種とともに記載されており、これらの車両が前方を走行中、ブレーキランプを出さずにサイドブレーキを使って急停止すると警告。リストを必ず携帯して当たった場合は相手に示すことや、「コピーを多くの人に配布して」と呼びかけている。
県警交通指導課によると、5月下旬からリストに関する問い合わせが十数件あっている。だが、同課の大友将輝次席は「全くの事実無根です」と断言する。
リストに掲載されたナンバーはほとんどが既に廃車になったもので、加えて自動車を使った「当たり屋」事案は、県内では少なくとも過去10年間は確認されていないという。「他県警でも過去にリストが出回ったという情報を聞くが、いつから、誰が、何の目的で発信しているのかは分からない」とした。
熊日の過去記事を調べると、1990年代にも似たようなリストが出回り県警が注意を呼びかけていた。当時は自治会の回覧板や事業所内でコピーされて配られたこともあったようだ。
S編パートナー紙の南日本新聞によると、今回、鹿児島県内でもほぼ同じリストが出回り、鹿児島県警が注意を呼びかけていた。熊日のS編に相談を寄せた女性は「注意喚起として受け取ったら善意で人に伝えてしまいますよね。今の時代はSNSでデマが一気に拡散するので怖いですね」。
熊本県警は「他県ナンバーへの過剰な警戒など混乱を招きかねないので拡散しないように。どんな事故でも迅速に警察に届け出るように徹底してほしい」としている。(堀江利雅)
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