熊本城二の丸広場に「謎の石」 藩校、陸軍施設と関連? 55センチの結晶片岩 専門家「武家屋敷の景石、持ち込まれた」 

熊本日日新聞 | 2023年1月24日 20:33

熊本城天守閣を眺めるように鎮座する石。石も熊本城の復興を見守っているのだろうか=熊本市中央区

 熊本城の二の丸広場(熊本市中央区)南側に生えるクスノキの大木の下に、ぽつんと一つだけ〝謎の石〟が鎮座している。たまにこの場所を訪れるという団体職員の男性(73)=西区=が、どうしてここにこの石があるのか知りたいと、熊日のSNSこちら編集局(S編)に声を寄せた。さっそく〝謎の石〟を見に行った。

 石はクスノキの根元にあり、高さ約55センチ、幅約60センチ。日の光を浴びると、表面がきらきらと輝く。男性は「熊本城の近くでは見慣れない石。藩校や陸軍施設があった場所なので、その頃に何かの目的で持ってこられたのでは」と推測する。

 誰に聞けば分かるのか。ひとまず、近くの熊本市立熊本博物館(中央区)に電話で尋ねた。

 電話に出たのは、同館で地質学を担当する南部靖幸学芸員。石の概要を伝え、取材の日程を調整しようとした直後、「その石のことは知っていますよ」と意外な返事が返ってきた。

 南部学芸員によると、熱や圧力を受けて変化した変成岩の一種で、「結晶片岩」と呼ばれる岩石だという。「結晶片岩はきれいなので、庭園などで景石として使われることもあります。加工された面もないので、武家屋敷の庭にあったような石ではないでしょうか」と推測する。

 ただ、どこで採掘された石なのかは分からないという。南部学芸員は「城の近辺で採れるような石ではありません。持ってこられた可能性が高いです」と解説してくれた。

 結晶片岩がなぜこの場所にあるのか─。市熊本城調査研究センターに尋ねてみたが、残念ながら石の来歴を知る職員はいなかった。

 林田和人主査(考古学)によると、二の丸広場は1954年に史跡・熊本城跡に追加指定され、55年に特別史跡へ。68年に第二高校の旧校舎が移転撤去され、その後広場として整備された。林田主査は「広場整備のため、建物解体後に広場全体が山砂で保護盛土されています。石は広場を整備した後に持ち込まれた可能性が高い」と語る。

 天守閣を眺めるように鎮座する石は、誰が何のためにこの場所に置いたのか。ますます知りたくなった。(鬼束実里)

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