新阿蘇大橋、揺れ逃がす工夫 構造も強く最善の技術

熊本日日新聞 | 2021年03月08日 11:00

新阿蘇大橋の建設で工期短縮のために用いられた超大型移動作業車(熊本復興事務所提供)
新阿蘇大橋の建設で工期短縮のために用いられたオートクライミングシステム工法(熊本復興事務所提供)

 熊本県南阿蘇村に7日開通した新阿蘇大橋は、熊本地震で崩落した旧大橋から約600メートル下流の渓谷に架かり、村の中心部方面と立野側の国道57号をほぼ直線でつなぐ。全長525メートルは旧大橋(206メートル)の約2・5倍。地震の教訓を生かして揺れに強く、揺れを逃すための工夫が施されており、国土交通省は「熊本地震級でも壊滅的なダメージは避けられる」と強調する。

 新大橋は、黒川から約100メートルの高さにある長さ345メートルの本体部と、国道57号からの180メートルのアプローチ部の大きく二つに分かれる。

 本体部は、複数の橋脚と上部の橋桁を一体化させた造りで、ドイツ語の「骨組み」に由来して「ラーメン橋」構造と呼ばれる。両岸の2点で支えるアーチ構造に橋桁を載せた旧大橋に比べ、揺れに強いのが特徴だ。

 実際、新大橋のやや下流にある同じラーメン橋の阿蘇長陽大橋(276メートル)は、熊本地震でも本体部が崩れず残った。そのため地震後1年4カ月という早い段階で応急復旧が完了し、阿蘇地域復興の大きな支えとなった。

 新大橋はアプローチ部にも工夫がある。

 直下に活断層があると推定されるため、橋桁を65メートルと115メートルの二つの部分に分けた。活断層直上の65メートルの橋桁は、橋脚との接合部の強度をあえて弱め、強い地震が起きれば橋桁がずれて、揺れの力を逃がす仕組みだ。

 T字形をした橋脚の上部構造も、通常より幅を広げて橋桁が落ちにくくした。仮に橋桁が落ちた場合も、65メートルのアプローチ部だけに被害がとどまるため、新大橋全体では早期の復旧が可能という。

 建設においても、作業用の足場とコンクリートの型枠が一体化した状態で橋脚を造る「オートクライミングシステム」や、「超大型移動作業車」を使って橋桁を伸ばすように造るなど最新の工法を採用。国交省熊本復興事務所の藤川真一・工務第二課長は「こうした工法がなければ、開通は来年の夏前まで1年4カ月ほど伸びた可能性がある」と話す。

 地盤防災学の専門家として新大橋の工事に助言した北園芳人・熊本大名誉教授は「現在考え得る最善の技術を取り入れた。新大橋の開通が阿蘇地域の経済的な復興につながってほしい」と期待する。(太路秀紀)

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