コロナ禍の子育て給付金10万円 「いまさら返還しろなんて…」 確約書まで求められた女性 行政の姿勢にモヤモヤ

熊本日日新聞 2023年3月17日 16:52
給付金の返還に先立ち、熊本市から提出を求められた「確約書」に目を落とす女性(写真の一部を加工しています)
給付金の返還に先立ち、熊本市から提出を求められた「確約書」に目を落とす女性(写真の一部を加工しています)

 「自動で振り込まれた10万円をいまさら返せと言われるとは…」。熊本市の30代女性会社員がSNSこちら編集局(S編)に困惑の声を寄せた。市から「返せ」と言われたのは、新型コロナ禍と物価高を受けて昨年、国が低所得の子育て世帯支援のために支給した給付金だ。申請不要の「プッシュ型」で給付されたが、要件から外れたため、物価高がさらに進む中での返還を求められたという。

 原則18歳未満の子ども1人当たりに5万円を支給する国の「子育て世帯生活支援特別給付金」は、2022年4月に閣議決定され、県内では6月から順次給付が始まった。費用は全額国庫負担。実際の給付は県や市町村が担った。基本、児童手当などと同じ口座に自動で振り込まれた。

 S編に声を寄せた女性の場合、子ども2人分の10万円が昨年7月に振り込まれたが、今年1月になって熊本市から返還を求める文書が届いた。年度途中で住民税の課税世帯となり、要件から外れたためだが、物価高が家計を圧迫する中、「速やかに10万円を返還しないといけないのはかなり痛手」と嘆いた。

 熊本市子ども支援課によると、市が同じように返還を求めたのは69世帯134人分。すべてプッシュ型で口座に振り込んだ。同課は「要件に該当しなくなった場合は返還が必要だということは文書で通知していた」と対応に理解を求める。他の自治体も同様の措置を取っている。

 S編に声を寄せた女性は10万円を返還する予定だ。ただ、返還に先立ち「納入期限を守り、誠実に返還することを確約します」と書かれた「確約書」に署名して市に提出するよう求められたことには憤慨している。

 「自動的に振り込まれたのに、まるで借金でもしていたような扱いであんまりだ」。行政の子育て支援の姿勢に対し、モヤモヤした気持ちばかりが残ったという。(立石真一)

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