〝脱マスク〟熊本県内はまだ様子見? 繁華街など着用が大半 「日常が戻る」と歓迎する声も

熊本日日新聞 | 2023年3月13日 21:01

マスク着用が個人の判断に委ねられた13日、マスクをして繁華街を歩く人たち=熊本市中央区の通町筋(谷川剛)

 新型コロナウイルスの感染防止対策で政府が求めてきたマスク着用が13日、原則として「個人の判断」に委ねる運用に変わった。熊本県内の繁華街や商業施設などではマスクを着けた人が大半で〝脱マスク派〟はごく一部。「様子を見たい」「抵抗がある」と慎重な姿勢が目立つ一方、政府の対策緩和には「日常が戻る」と歓迎する声も聞かれた。

 熊本市西区の大型商業施設「アミュプラザくまもと」。午前10時の開店前、スタッフが入り口の「マスクの着用をお願いします」と書いた掲示物を、消毒のみを求めるステッカーに交換した。運営するJR熊本シティ(同区)の山下信二社長は「開業して2年、ずっとコロナ禍。やっと前向きな一歩を踏み出せた」と明るい顔を見せた。各テナントには引き続き従業員のマスク着用を推奨するという。

 マスク姿で友人と買い物に訪れた八代市の中学3年の男子生徒(15)は「人に素顔を見られるのはまだ抵抗がある。高校に入学する4月からはマスクを外して新しい学校生活を送りたい」と話した。

 熊本市中央区の「熊日生涯学習プラザ」の俳句講座を受講していた西区の女性(75)は「マスク生活にすっかり慣れた。息苦しさも感じないし、当分は人と会う場所では着けたい」。受講生は、ほとんどがマスクを着けていた。

 中央区の上通、下通アーケードでは、外したマスクを手に持って歩くサラリーマンや口元からずらして歓談する買い物客も見られた。一方、熊本市役所の来庁者でマスクなしは数えるほどだった。

 「今日から外出時にマスクをしないことにした。顔を見て会話できる日常に早く戻りたい」と話したのは合志市の農業男性(43)。中央区の会社経営の男性(24)は「肌荒れするため日頃からマスクを着けず、周囲の目を気にして生活していた。そのストレスから解放される」と歓迎した。

 西区の亀の子幼稚園では、2歳児以上に求めてきたマスク着用を13日から保護者の判断に委ね、1~2割の園児がマスクなしで登園した。福山沙織園長(45)は「子どもの表情から体調も分かる。本来の姿が戻ってきた」と喜んだ。

 政府は今回の指針で、混雑時の電車やバスはマスク着用を推奨した。昼前に熊本市電に乗った中央区の団体役員の男性(74)は「どんな状況が混雑か、判断が難しい」と悩ましげだった。

 医療機関や高齢者施設の従事者は引き続き、勤務中にマスクを着用する推奨対象とされた。中央区の在宅ステーション水前寺訪問介護事業所の大内麻由美所長(54)は「この3年、感染の波が来る度に大変な思いをしてきた。日常でもマスクをすることが利用者と自分を守ることにつながる。現段階で外すことは考えていない」と話した。(丸山伸太郎、志賀茉里耶、元村彩)

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