全体移転は「困難」 熊本豪雨で全世帯全壊の大柿地区 人吉市が方針、国遊水地区域外は住民意向を尊重

熊本日日新聞 | 2022年11月23日 23:07

大柿地区住民の移転を巡り、今後の方針を説明する松岡隼人市長=23日、人吉市

 熊本県人吉市は23日、2020年7月の熊本豪雨で全58世帯が全壊した大柿地区に求めていた全世帯移転は「現時点では困難」として、国が計画する遊水地の区域外では、現地再建を望む住民の意向を尊重する方針を明らかにした。遊水地区域内の世帯には、引き続き移転を求める。

 大柿地区は熊本豪雨で全域が浸水。国土交通省は昨年11月、全世帯中36世帯が該当する17ヘクタールを買収して遊水地にする案を提示している。

 この日夜、中原小で開いた説明会で松岡隼人市長が住民に説明。遊水地区域外に住み続ける人に対しては「浸水リスクを認識し、早期避難を徹底してもらう」と強調した。遊水地区域外から移転する場合は国の補償対象外となるため、市が独自の支援策を検討していることを報告。「市には流域治水を推進する責務がある」と、国の遊水地整備に協力する立場を改めて示した。

 松岡市長は今年3月「川辺川の流水型ダム完成に10年以上かかり、大柿は浸水の危険が残る」として全世帯移転を提案し、移転先の選定を進めていた。市が7月に実施した全世帯対象の意向調査では、約8割が移転再建済み、または移転希望と回答。約2割が「大柿に住み続けたい」と現地再建を望んでいた。

 説明会には住民47人が参加し、遊水地に賛否両方の意見が出た。(中村勝洋)

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