自転車防犯登録に〝落とし穴〟 抹消せずに販売・譲渡可能 新たな所有者、上書き登録できず…

熊本日日新聞 | 2022年6月28日 12:00

自転車の盗難防止と早期発見が目的の防犯登録のステッカー(写真の一部を加工しています)

 自転車の盗難防止や早期発見に役立つ防犯登録だが、熊本県高森町のパート男性(63)が「SNSこちら編集局」(S編)に、知人から譲られた中古自転車で困ったことになっているとの声を寄せた。取材すると、前の持ち主の防犯登録が残っていると、新たな持ち主が陥ってしまう制度の〝落とし穴〟が浮かんだ。

 男性が譲り受けたのは電動自転車だ。知人がリサイクルショップで購入した中古品で、知人が購入した時から前の所有者の防犯登録が残ったままだった。乗り続ければ盗難車両だと疑われかねない。新たな防犯登録ができない男性は「廃棄するしかないの?」と悩んでいるという。

 県警生活安全企画課によると、熊本では、自転車の防犯登録は前の持ち主が抹消手続きをしていないと、上書きして新たな登録ができないシステムだという。登録は法律で義務化されているが、抹消に関する事項は法律や省令などに明記がない。リサイクルショップで以前の登録が残ったままの自転車を販売しても、法律上は問題がない。

 県内のリサイクルショップには、県公安委員会の指定団体である県防犯協会連合会か県自転車二輪車商協同組合から業務委託を受けた「防犯登録所」と、そうでない店がある。登録所の場合、防犯登録が残っていたら買い取らないのが一般的だ。しかし登録所でない店だと、抹消されているかどうかを確認せずに買い取り、販売するケースもあるという。

 県内の防犯登録件数は、県防犯協会連合会分だけで年間約5万8千件(2021年度)だ。これに対し抹消は約千件。使い終わった自転車は廃棄されるケースも多いが、それにしてもかなりの開きがある。

 ちなみに、自転車の防犯登録制度は各都道府県公安委員会の指定団体が運用を担っているため、都道府県によって仕組みが異なる。そのため他県へ転出する時も登録を抹消し、転出先の県で新たに登録し直す必要がある。熊本県では登録の有効期限は「15年」との決まりがあるため、それを過ぎると再登録が必要だ。

 高森町の男性の場合はどうすれば良いのか。県警に聞くと「複雑な事例なので一度警察に相談してほしい」とのことだった。ただ、フリマアプリの普及で個人間での取り引きも盛んになっている。トラブルを防ぐためにも、抹消に関する全国統一のルール作りが必要ではないか。(岡本遼)

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