「入ってますよ」 自転車保険の認知度 熊本〝全国トップ〟 県の加入義務化から半年 加入率も急上昇4位

熊本日日新聞 | 2022年5月10日 07:00

自転車で下校中に信号を待つ高校生。周辺は多くの自転車が行き交っていた=6日午後5時、熊本市中央区

 熊本県が条例を改正し、自転車利用中の事故で生じた賠償に備える「自転車保険」への加入を義務付けてから半年以上が経過した。「加入は進んだのでしょうか」という八代市の主婦(34)の声を受けて「SNSこちら編集局」(S編)取材班で調べたところ、義務化の認知度は〝全国トップ〟という結果が浮かんだ。

 6日午後5時前。熊本市中央区の鎮西通り近くの県道を、高校生など多くの自転車が行き交っていた。

 高校生は加入義務化を知っているのだろうか。自転車通学の男子高校生に聞くと「入学してすぐに学校から説明があった。保険には以前から入っていた」。一緒にいた同級生からは「知らなかったけど、保険には入っていたと記憶しています」と返ってきた。

 au損害保険(東京)が今年1月、全国の自転車の利用者を対象に実施した調査によると、熊本県在住者の保険加入率は72・4%。前年度から約20ポイントアップし、全国順位も24位から4位に急上昇した。義務化の認知度も64・8%と高く、今年1月時点で義務化している自治体があった25都府県でトップだった。

県が作成した自転車保険加入の義務化をPRするチラシ(県ホームページより)

 県は2021年度、約150万円の予算を組んでチラシやポスターを作成。施行の数カ月前から各市町村や関係機関に周知を呼びかけた。au損保の調査結果を受けて県くらしの安全推進課の横田睦稔課長補佐は「一定の成果が出たと思う」と手応えを口にした。

 日本生命保険熊本支社(熊本市)でも、改正条例が施行された昨年10月は損害賠償を補償する商品の成約数が例年の2倍以上に増えた。義務化に合わせた営業が奏功したという。

 自転車販売のカガワの自転車(熊本市)は、自転車安全整備士が点検・整備した自転車に貼付される「TSマーク」を勧めている。賠償責任補償(赤色は最大1億円)も付帯しているため自転車保険の義務化にも対応でき、1年ごとに点検を受けることで更新も可能だ。香川茂三専務(60)は「TSマークは自動車でいう『車検証』。命を守るために整備の習慣を身に付けてほしい」と力を込める。

 過去には、小学5年生男児が自転車で女性に衝突。女性が寝たきりとなり、小学生の母親が神戸地裁から約9500万円の支払いを命じられる事故も起きている。熊本県警によると、昨年県内で発生した自転車が関係する人身事故は487件。その半数で何らかの法令違反があった。交通企画課は「『自転車は車両』という意識を持ち、法令順守を徹底してほしい」と呼びかけている。(岡本遼)

 ■自転車保険 自転車保険の加入義務化は国が2018年に都道府県と政令市に要請。「自転車保険」の名称で販売される保険のほか自動車保険や傷害保険、火災保険の特約や、クレジットカードの付帯保険でカバーできる場合もある。熊本県は15年に「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を施行していたが、保険加入は努力義務だったため、昨年10月施行の改正条例で義務化した。改正後も違反への罰則はない。

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