夕方から温泉、空き時間に釣り 38歳「旅先で仕事」実践 環境変わり新鮮、生産性アップ

熊本日日新聞 | 2021年01月11日 15:14

長男とワーケーションで滞在中の指宿市の海辺を散歩する森田晃輝さん=2020年11月末、鹿児島県

 昨年11月下旬、錦江湾の先に桜島を望む鹿児島県指宿市の海辺。山の稜線[りょうせん]にあかね色が差す午前6時半、森田晃輝さん(38)の1日が散歩で始まった。

 熊本市の自宅から遊びに来た長男(4)も一緒。「指宿滞在の2カ月で体重が8キロ落ちた。食生活にも気を使うようになり、健康そのもの」と笑った。
 ITコンサルティング業を営み熊本市に事務所を構えるが、全社員14人がテレワーク。自身は10月から旅先で余暇を楽しみながら仕事をする3カ月間のワーケーションを実践している。

 きっかけは新型コロナウイルスだ。感染防止でテレワークが普及し、多くの企業がオフィスに対する意識を変え始めた。森田さんはワーケーションを切り口に企業のIT化を支援する業務を見据え、可能性を探っている。

 2LDKの部屋を住居兼職場とし、午後5時には温泉へ。空き時間には海を眺めたり釣りをしたり。仕事の集中力は増し、生産性も断然上がったという。
 

指宿市の2LDKのアパートを借りてワーケーションに取り組む森田さん。通勤の時間がなく、空いた時間を有効活用できる=2020年11月末

 「環境が変わると毎日発見があり、新鮮で飽きない。ワーケーションはこれから絶対に当たり前になる」。森田さんは断言する。
 

長男と海辺を散歩する森田さん。「ワーケーションを始めて健康的になった上、仕事の生産性も上がった」と喜ぶ=2020年11月末

 コロナの影響でテレワークの環境整備が進み、業種によってはどこででも働ける時代になった。土地に縛られず、さまざまな場所で過ごす「多拠点型」の生活様式を志向する人が増えつつある。内閣府が昨年6月に発表した調査では、テレワークの経験者は34・6%に上り、そのうちの24・6%は地方移住に関心を示している。

 多拠点に着目して2019年に登場したのが、会員になれば毎月定額(4万円~)で全国100カ所以上の物件が住み放題となるサービス。多良木町と宇城市にも物件がある。

 運営する「ADDress(アドレス)」(東京)によるとコロナ禍の5~8月は、月別の新規会員数が流行前の2月に比べて5倍に増加。半数は会社員で、担当者は「コロナで脱東京のニーズが高まった上、どこでも働ける環境が整ったことが影響した」と話す。

 関達也さん(50)は19年からアドレスを活用して多拠点生活を実践。多良木町や東京、長野など多い月で5、6カ所に滞在する。宮崎市の自宅で暮らすのは月に2週間ほどだったが、「固定の住居を持つ意味がない」と自宅を引き払った。

 仕事はコンサルティング業で、ほぼリモート。「地域づくりに携わる若い人と出会い、地方の活気を感じた」と出張先に一定期間住むようになった。

 アドレスは、管理人の橋渡しで地元住民と交流の機会を持てる。「出会いと地域を知ることで『帰る場所』になる。観光ではできないこと」と関さん。全都道府県に住むことが目標だ。「働き方も暮らし方も土地に縛られない時代が来た。各地の魅力を体感し、多拠点生活を楽しみたい」(福井一基、深川杏樹)

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