世界初、線虫の誘引物質を特定 熊本大農学研究センター 農業被害軽減に期待

熊本日日新聞 | 2021年07月10日 08:10

約8ミリの亜麻の種子(中央)にサツマイモネコブセンチュウが誘い寄せられる様子。細かい白いものが線虫(澤進一郎教授提供)
澤進一郎教授

 熊本大大学院生物環境農学国際研究センターの澤進一郎教授(センター長)らの研究グループは9日までに、農作物に被害をもたらす植物感染性線虫を誘い寄せる物質の特定に成功したと発表した。

 農薬を使わずに線虫をおびき出して駆除できるようになり、環境保全型の農業への利用が期待される。物質の特定は世界初という。

 線虫は体長約1ミリで、動物やバクテリアなどに寄生。中でも植物感染性線虫は農作物の根などに侵入し、枯死や生育不良をもたらす。農業被害額は全世界で年間数十兆円に上るとの試算もある。

 殺虫には土壌くん蒸剤などが使われるが、強い農薬は土壌中の多くの微生物を殺し、健康被害の恐れも指摘される。多くの研究者が誘引物質の特定を試みてきたが、実験には大量の根の誘引物質と線虫が必要なため、研究は進んでいなかった。

 研究グループは線虫数百万匹の培養にも成功しており、根菜類などに寄生するサツマイモネコブセンチュウと、亜麻の種子で実験。種子の浸出液を精製し、種子の細胞壁成分に含まれる糖に線虫が引き寄せられていることを突き止めた。

 亜麻の種子は簡単に大量入手できるという。澤教授は「10年かけて得られた大きな成果。今後は天然素材の駆除剤を開発し、農業県熊本の発展に貢献したい」と話している。同センターは、熊本大が4月に新設した農学分野の研究拠点。教授ら13人が在籍する。(平澤碧惟)

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