米、対外援助危機で元職員が警鐘 世界で数百万人が影響
【ワシントン共同】米政府の対外援助を長年担い、貧困地域での人道支援や経済成長を支えてきた国際開発局(USAID)をトランプ大統領が敵視し、波紋を広げている。ワシントンの本部が閉鎖されるなど機能不全の危機に陥っており、元職員は世界で数百万人が影響を受け「飢餓や病気、気候変動による災害から逃れるすべを失う」と警鐘を鳴らした。
USAIDは2023会計年度だけで434億ドル(約6兆6千億円)を拠出し、約130の国や地域で事業を実施。契約職員だったキャロル・タイローラーさんは4日、トランプ氏の姿勢は「無謀で危険だ。長年の実績を傷つけ、米国が世界の安定に無関心だとのメッセージを発する」と憤った。
USAIDでジェンダー問題を担当し現場で働いた経験もあったが、突然契約を打ち切られた。USAIDの活動を「慈善事業」と位置付けるトランプ政権に反論し「経済成長への投資だ。米外交の利益に合う」と強調。「支援削減は各国との絆を弱め、中国やロシアが入り込む隙をつくる。米国は信頼と影響力を失うだろう」と訴えた。