価格転嫁、生産拠点変更を検討 日本企業、関税の発動に備え
米国政府は、メキシコとカナダからの輸入品に対する25%関税の発動を土壇場で延期した。日本企業は“トランプ劇場”に「柔軟対応する」(三井物産)と推移を注視しつつも、価格転嫁や生産拠点の変更など検討を具体化させている。
メキシコに四つの生産拠点を構える自動車部品大手デンソーの松井靖副社長は「関税が上がれば、サプライチェーン(供給網)で吸収するだけではなく(車メーカーに)価格転嫁を相談したい」と話す。部品供給側だけでは関税コストの上昇を吸収できないからだ。
関税は輸入業者が支払うのが原則。ただ、一般消費者への販売価格を抑えたい企業が一部の負担を取引先に求める可能性がある。メキシコとカナダに工場を持つ部品メーカーのジェイテクトもデンソーと同じ立場だ。
エアバッグのクッションなどをメキシコで生産する豊田合成は「関税が課せられると、最大で米州売り上げの5~6%のコストアップにつながりかねない」(幹部)と危機感が強い。米州の年間売上高は約4千億円と全体の4割弱を占め、拠点ごとの生産品目再編を選択肢に挙げる。