黒川温泉にレストラン街構想 1号店のパンとコーヒーの店開業 「泊食分離」で旅館の人手不足解消狙う
年間約30万人の宿泊客が訪れる黒川温泉(南小国町満願寺)に9月30日、温泉街初のパンとコーヒーの店が開業した。周辺に飲食店向けテナント7棟も完成。旅館の人手不足解消へ「泊食分離」を図り、新たなレストラン街構想の1号店となる。
温泉街西側の敷地約3千平方メートルの一角に完成した「Au Pan&Coffee(アウ・パン・アンド・コーヒー)」は、木造平屋98平方メートル。天然酵母と地域の食材を使ったパンやマフィン、ピザなど30~35種類を製造販売する。
店内では、焙煎[ばいせん]から手がけるコーヒーやワインを販売。チェックイン前後や湯巡りの合間に、部屋での飲食や土産として利用してもらう狙い。木立の中に点在するテナントの入居店舗を募っており、来春にも順次オープンさせる計画という。
レストラン街オーナーは、黒川温泉観光旅館協同組合代表理事で、「奥の湯」を営む音成貴道さん(54)。旅館・ホテル30軒が営業する温泉街は、訪日客が回復し、新型コロナ禍前のにぎわいが戻ってきた。それでも「部屋は空いていても、人手不足で宿泊を受け入れられないケースもある。従業員の不規則な勤務体制も大きな課題」と話す。
テナントの入居店舗が決まるのはこれからだが、「温泉街での食事の選択肢を広げたい」と音成さん。宿泊客に新たに誕生するレストランで夕食、朝食を楽しんでもらうことで、課題解消につなげる考えだ。(花木弘)
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