外国人の増加率24・18% 熊本県、全国最大の伸び 24年1月時点 TSMC進出の菊陽町、増加数で全国町村3位
総務省が24日に公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、今年1月1日時点の熊本県内の外国人を含む総人口は172万8098人で前年に比べ0・57%減少した。日本人が0・86%減る一方、外国人は24・18%増えて全国の都道府県で最大の伸び率だった。県内で外国人の伸び率が最も高かったのは、台湾積体電路製造(TSMC)が進出した菊陽町。86・58%増の987人となり、増加数(458人)は全国の町村で3位だった。
◇ ◇
県内45市町村で総人口が前年より増えたのは8市町村。伸び率は御船町の1・08%が首位。益城町の0・96%、嘉島町の0・86%と続いた。3町のほか、南小国町、菊陽町、合志市、西原村、熊本市も増えた。
■住宅増が貢献
御船町は日本人の増加が著しい。伸び率は全国の町村で6位。2021年に会員制大型スーパー「コストコ」が出店し、複合型宿泊施設や物流倉庫などの進出も続く。転入者数が転出者数を上回る「社会増」も全国の町村で8位。町は「町内に雇用の場が生まれ、転入者が増えたのではないか」と分析する。熊本市や菊陽町などに比べて地価が安く、商業施設も多い。子育て支援も充実しており、一戸建て、集合住宅ともに建設が増えている。
益城町は、日本人増加数(282人)が全国の町村で1位だった。昨年ごろから益城台地西土地区画整理事業地(約400区画)への入居が始まったことが人口増の主な要因。同町によると4月時点で約400人が居住し、うち7割が町外からの転入という。「地理的優位性から主に熊本市のベッドタウンとして人口が増えている」と同町。宅地開発は他地区でも進んでおり、人口増は続く見通し。
■TSMC効果
県内に住む外国人は2万5121人で、前年より増えたのは41市町村。伸び率トップの菊陽町は、増加人数と社会増の数が全国の町村で3位(前年は32位と31位)だった。TSMCの進出で、台湾などからの転入者が一気に増えた。第2工場の敷地造成も進んでおり、さらなる外国人の増加が見込まれる。
外国人の伸び率が県内2位の南小国町は、観光分野の外国人従業員が増えている。外国人の8割が温泉旅館やホテルが集中する満願寺に居住。中でも黒川温泉などの温泉街が点在する黒川地区が多い。黒川温泉観光旅館協同組合によると、ホテル・旅館30軒で働く外国人は前年の1・5倍に。訪日客が新型コロナウイルス禍前の水準にほぼ回復したことが背景にある。
■減少率全国2位
人口が減少した自治体に目を移すと、20年の熊本豪雨で被災した球磨村の総人口の減少率は、全国の町村で2番目に多い5・81%だった。前年は全国で最も多かったが、人口流出の勢いは収まりつつある。村によると、豪雨後の転出者数は毎年度200人を超えていたが、23年度は半分ほどに減少。「被災後の住まいが確定し始めたことで、転出数は落ち着くのではないか」とみている。(河北英之、草野太一、花木弘、金村貫太)
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