【独自】「日本版ライドシェア」熊本県内で11月導入へ 熊本市のタクシー事業者4社が参入 運転手不足解消、移動の足確保
タクシー事業者が運営主体となり一般ドライバーが有償で利用者を運ぶ「日本版ライドシェア」に関し、熊本県内最大手のTaKuRoo(タクルー、熊本市)など4社が、11月15日からの県内初導入に向けて準備を進めていることが2日、分かった。県内でも深刻となっているタクシー運転手の不足や「移動の足」の確保に対応する。
4社はタクルーのほか、いずれも熊本市に本社を置く旭タクシー、熊本タクシー、熊本東峯。9月20日までに九州運輸局からそれぞれ参入許可を受けた。
九州運輸局が県内で日本版ライドシェアの運行を許可しているのは、熊本交通圏(熊本市、合志市、菊陽町、益城町、嘉島町)の事業者。原則として金、土曜の午後4時~翌午前5時台に、区域内のタクシー台数の5%を不足車両とみなして参入できる。
4社は計18台で運行を始める見通し。利用者は配車アプリで予約し、キャッシュレスで支払う。運賃はタクシーと原則同じで、予約時に出発地と到着地を入力することであらかじめ金額が確定する。ドライバーの賃金は未定だが、全国と同様に時給で支払う方針だという。
関係者によると、4社以外にも、近く2社が加わる見通しで、ほかにも複数社が参入を検討している。
日本版ライドシェアは原則ドライバーの自家用車を使用する。ただ、タクシー事業者の保有車両も認められており、タクルーは稼働していない遊休車両5台の活用を予定している。
運送責任は事業者が負うため、各社は安全性の担保に向け、一般ドライバーに対して安全運転研修を実施する。
熊本県タクシー協会によると、8月末時点での県内のドライバーは3587人で前年同月比で91人増えたが、4千人を超えていた新型コロナウイルス禍前には達していないという。
小山剛司会長は「需要があるにもかかわらず、乗務員不足で対応できていないことも生じている。ライドシェア導入で利用者の移動手段を提供することにつなげたい」と話した。(上村彩綾、立石真一)
◆ライドシェア 自家用車を使って有償で客を運ぶサービス。許可なく個人が営業する「白タク行為」の例外として今年4月に始まった「日本版ライドシェア」は、タクシー事業者が実施主体となり、ドライバー募集や安全管理、事故対応などを担う。自治体やNPOなどによる「公共ライドシェア」もあり、タクシー事業者が少ない地方部で広がっている。
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