タクシー不足解消へ、八代地域外事業者の営業開始 くまモンポート八代 大型船寄港時
八代市新港町の「くまモンポート八代」で5日、大型クルーズ船寄港時のタクシー不足を解消するため、道路運送法の特例に基づく八代地域外事業者のタクシー営業が始まった。九州3例目の試みで、熊本県内では初。乗船客の交通手段を確保し、八代市や市外への周遊につなげる狙いだが、初日は乗車希望の長い列ができた。
海外クルーズ船の受け入れ拠点となるくまモンポートは、新型コロナウイルス禍が落ち着いた2023年3月に受け入れを再開。JR新八代駅などに向かうシャトルバスはあるものの、寄港回数や個人旅行客が増えた影響でタクシー待ちが目立ち、1時間以上待つケースもあった。
道路運送法は事業者に発着地の両方が営業区域外にある客の運送を禁じている。一方、20年11月からタクシーが不足する場合に限って特例を認めており、八代市や地元の交通事業者らでつくる公共交通会議が九州運輸局に区域外旅客運送を申請。9月4日に認められた。
特例はくまモンポートからの乗車のみで、乗船客が約3千人を超える場合に限り、市が寄港日などを県タクシー協会八代支部に連絡。同支部がタクシーが足りないと判断した場合、県タクシー協会が県内事業者に寄港情報を伝え、各事業者が配車するかを判断する。
この日は初めて特例を運用した。午前8時ごろ、中国人を中心にした乗船客約5100人のクルーズ船が寄港。タクシー乗り場に八代市の事業者に加え、熊本市と人吉市の計15台が入った。乗客は行く先を熊本城や新八代駅などと告げながら、次々に乗り込んだ。それでも、希望者があふれ、一時350人超が乗車待ちした。
県タクシー協会の小山剛司会長(59)は「初の試みで、必要な台数の把握が難しいなど課題も見えた。今後も協力したい」。八代市港湾・クルーズ振興課は「乗船客が滞在時間を有効に使えるよう、今後も改善策を検討していく」としている。(河内正一郎)
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