天草四郎「首を取った」書状の原本を初確認 細川忠利が天草・島原の乱で報告 天草キリシタン館、25年1月まで展示
細川家の初代熊本藩主・忠利が、寛永15(1638)年の天草・島原の乱で一揆勢の総大将だった天草四郎の首を取った手柄などを親しい大名ら15人に報告した書状のうち1通の原本が確認されたことが2日、分かった。細川家には、ほぼ同じ内容で宛名が異なる書状の控えが残っているが、原本が確認されたのは初めてという。
調査した天草キリシタン館(天草市)によると、見つかったのは、忠利が原城の落城などを知らせるため、親しい大名や幕臣に送った書状15通のうち、姻戚で日出藩(現・大分県日出町)藩主の木下延俊[のぶとし]に宛てた書状の原本。名古屋市の男性が九州の古書店で入手し、天草キリシタン館に調査を依頼した。
書状は、原城落城から2日後の3月1日付。原城本丸に乗り込んだ経緯に加え、「四郎のいる家を火矢にて焼かせ、四郎が出てきたところを、神野[じんの](陳)佐左衛門[すけざえもん]という者が首を取った」と報告。「四郎だと分かっていれば、生け捕りにできたのに」など、忠利が親しい大名に打ち明けた本音も記されている。
熊本大永青文庫研究センターの稲葉継陽教授は「原城の状況や四郎が打ち取られる様子を、当事者である細川家が克明に描写した書状の原本で、貴重な資料」と話す。
キリシタン館の平田豊弘館長は「一次資料に基づいた比較研究がさらに活発化し、天草・島原の乱の実態や天草四郎の実像を、より解明することにつながってほしい」と期待を寄せる。
書状は、同館で2日に始まった企画展「天草キリシタンの美術と史実 天草四郎陣中旗と原城」で展示。11月1~7日には、国指定重要文化財「綸子地著色聖体秘跡図指物[りんずじちゃくしょくせいたいひせきずさしもの](天草四郎陣中旗)」の実物も見ることができる。企画展は来年1月13日まで。(鬼束実里)
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