「通潤橋」国宝指定1年、高い人気続く 7月の観覧者、前年比3割増…駐車場不足などに課題 山都町

熊本日日新聞 2024年9月24日 22:30
観光客らでにぎわう国宝・通潤橋=15日、山都町
観光客らでにぎわう国宝・通潤橋=15日、山都町

 山都町の通潤橋は25日に国宝指定1年。熊本県外への認知度が高まり、観光客も急増。近くの商店街にも好影響が広がる。課題は駐車場不足や社会科見学予約システムの使いにくさ。白糸台地に農業用水を送る役目を果たし、誘客にも貢献する町最大の観光名所は受け入れ態勢の整備が求められている。

 近くの浜町商店街一帯で7、8日にあった伝統の八朔[はっさく]祭は、昨年と同規模の3万9千人が来場。目玉の大造り物引き回しがあった8日は昨年より約2千人多く、町商工観光課は「注目度が高い状態は続いている」と分析する。

 通潤橋上部の見学は2022年4月に有料化した。昨年6月に国の文化審議会による国宝の答申があり、観覧者は増加傾向。翌7月には前年の3倍となる1597人。昨年は2万4324人となり、前年の1・58倍だった。

 今年は4~8月末で7990人となり、昨年の1・3倍ほどで推移。今月15日には5万人を達成した。上部を見学できるのは、田植えの時期と冬季を除く4~11月の年間100日程度。町教育委員会は「5万人達成は早かった」とみる。

 浜町商店街の旅館「川萬屋」の宿泊客は昨年、前年の1・2倍となった。仕事での利用が主な客層だが、昨年から個人旅行客からの問い合わせも増えているという。店主の男性(71)は「コロナ禍前ほどとはいかないが、来てくれる人は確実に増えている」と手応えを口にする。

通潤橋前の駐車場が満車になり、列をつくる観光客らの車=15日、山都町
通潤橋前の駐車場が満車になり、列をつくる観光客らの車=15日、山都町

 一方、受け入れ態勢は人気に追いついていない。3連休中日の15日昼、通潤橋前の駐車場(普通車136台、大型バス5台)は満車になった。空きを探す車や、路肩に車を止めて家族だけを降ろす人が目立った。長崎県から訪れた男性(43)は、近くの「やまと文化の森」に駐車。「役場を案内されたが見つけられなかった。町外者にも分かるような案内がほしい」と残念がった。

 今年2月11日には九州中央自動車道の「山都通潤橋IC」の供用が開始。町へのアクセスが向上し、土日には通潤橋前の駐車場が不足している。町は役場駐車場(160台)を開放するが、浸透していない。

 町議会でも駐車場の増設を求める声がある。ただ、町は「平日などは十分な駐車枠がある。冬季は訪れる人が減ることもあり、最大値で整備するのは難しい」と、役場駐車場への案内の徹底で乗りきる姿勢だ。

 通潤橋は、小学校などの社会科見学の場としても重宝されている。町生涯学習課によると、例年9~11月には国宝指定前から県内を中心に約200校が訪れる。大型バス20台以上が集中する日があったため、本年度から1日10台までに絞ることにした。

 予約方法も変更。見学時の利用が多く、別々の電話予約が必要だった町観光協会が運営する史料館と、町が管理する案内ボランティアは、バスの駐車予約と併せて町ホームページからの一括受付とした。

 ただ、現在のシステムでは、予約をした学校側で内容変更ができない。町は「学校、観光協会にも使いやすいシステムが必要。町内観光施設との連携にもつながるはず」としている。(枝村美咲)

RECOMMEND

あなたにおすすめ
Recommend by Aritsugi Lab.

KUMANICHI レコメンドについて

「KUMANICHI レコメンド」は、熊本大学大学院の有次正義教授の研究室(以下、熊大有次研)が研究・開発中の記事推薦システムです。単語の類似性だけでなく、文脈の言葉の使われ方などから、より人間の思考に近いメカニズムのシステムを目指しています。

熊本日日新聞社はシステムの検証の場として熊日電子版を提供しています。本システムは研究中のため、関係のない記事が掲出されこともあります。あらかじめご了承ください。リンク先はすべて熊日電子版内のコンテンツです。

本システムは「匿名加工情報」を活用して開発されており、あなたの興味・関心を推測してコンテンツを提示しています。匿名加工情報は、氏名や住所などを削除し、ご本人が特定されないよう法令で定める基準に従い加工した情報です。詳しくは 「匿名加工情報の公表について」のページ をご覧ください。

閉じる
注目コンテンツ
熊本のニュース