電話で長時間対応、暗に金品要求も… 熊本市がカスハラ対策へ 名札表記見直し、電話自動録音も検討
熊本市は10日、悪質なクレームなど理不尽な要求を受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策として、職員が身に付ける名札の表記を見直し、庁舎の電話に自動録音装置の導入を検討する方針を示した。職員をカスハラ被害から守り、安心して働ける環境を整える。
窓口で暴言を吐かれるなどのカスハラを巡っては、民間企業だけでなく各地の自治体でも問題化。熊本市では職員が電話で長時間の対応を強いられたり、暗に金品を要求されたりといった事例が確認されている。
市は対策の一つとして、氏名や顔写真が掲載された名札について、名字のみを明記することを含めて協議する。氏名を基に個人情報が特定され、SNS(交流サイト)で中傷されるなどの被害を防ぐ目的がある。
さらに、市役所や区役所などの電話にアナウンス機能のある自動録音装置の導入も検討。現在は外付け機器を使わないと録音できない仕組みだが、導入すればカスハラ対策だけでなく市民サービスの質の向上にもつながると説明する。
市はカスハラの実態を把握するため7~8月に職員アンケートを実施。今後、結果を分析し、カスハラの定義や判断基準などをまとめた基本方針や職員向け対応マニュアルも作成する。
この日の市議会一般質問で、市民連合の西岡誠也氏に答えた。大西一史市長は「職員が安心して本来の業務に専念し、市民サービスを公平に提供できるよう積極的に対策に取り組む必要がある」と説明した。
カスハラ防止を巡っては東京都などで条例制定を目指す動きも広がりつつある。(臼杵大介)
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